秦正流

秦 正流（はた しょうりゅう）について

生い立ちと早年

秦正流は1915年4月15日、滋賀県に生まれました。彼の父は浄土真宗本派本願寺派の住職であり、教育を重視する家庭に育ちました。1936年には大阪外国語学校の露語部を卒業後、大阪朝日新聞社に準試用社員として入社しました。この年の8月に奈良通信部に配属され、ジャーナリストとしてのキャリアが始まります。

軍隊生活と報道活動

しかし彼のキャリアはすぐに軍隊にかき消されます。1937年には兵役に召集され、金沢の騎兵第9連隊へ入営。彼は満州ハルビンで訓練を受け、後に中国・蘇州では「武漢三鎮攻略戦」に参加し、連隊の旗手として活躍しました。1940年に召集解除されると、再び朝日新聞社へ復職しました。

海外支局での活動

彼の報道活動は海外にも広がります。1943年には東京本社東亜部員としてビルマのラングーン支局へ派遣され、戦争の激化に伴い、カンボジアやシンガポールへと移動しました。1945年、彼はポツダム宣言受諾の知らせをサイゴンで知り、その後帰国します。帰国後はさまざまな部門で活動しながら、新聞社内での労働運動にも関与しました。

ジャーナリストとしての道

1946年には新たに西部本社通信部に復帰し、後に大阪本社外報部員となります。これ以降は様々な部署で重要な役割を果たし、1969年には総務・労務担当になりました。1972年には常務取締役に就任し、その後も編集や出版を担当、大きな影響力を持つ存在となります。また、彼は編集顧問としても活躍し、社史の編纂にも寄与しました。

社会政治に対する関与

秦はジャーナリストとして非常に重要な影響を持った人物でもあります。彼は中ソ対立の中で親ソ連派のリーダーとなり、中国共産党路線を推進する広岡知男を批判し、社の経営からの排除を目指して村山社主家と手を結びました。1980年には広岡を失脚させ、社内で強い存在感を示しました。

作家としての側面

その間、数多くの著作も残しました。彼の代表的な著書には『モスクワ1500日』、また『ペンの旅人 一新聞記者の回想』などがあります。これらの著作は、彼のジャーナリストとしての経験をもとにした深い洞察が魅力です。

晩年と死

1986年には日本ジャーナリスト会議の代表委員を務めたり、1982年から1989年まで大佛次郎賞選考委員に就任したりと、社会への貢献も続けます。1994年7月9日、肺炎により79歳で亡くなりました。彼の残した業績は、現在でも多くの人々に影響を与え続けています。彼の生涯は、ジャーナリズムの発展に寄与した積極的な活動の記録として、後世に伝えられることでしょう。

もう一度検索