秩父鉄道1000系電車

秩父鉄道1000系電車

秩父鉄道1000系電車は、1986年に登場した通勤形電車です。国鉄101系電車を譲受した車両で、100形や800系といった旧型車両の置き換えを目的に導入されました。国鉄からJRに移行後、初めて編成単位で私鉄に譲渡された事例としても知られています。

概要

1986年から1989年にかけて、状態の良い101系3両編成12本、計36両が譲り受けられました。改造内容はパンタグラフの交換、保安機器の変更、暖房容量の増大などが行われました。1994年からは冷房化改造も実施され、快適性の向上が図られました。

構造

3両編成を組成し、制御電動車のデハ1000形、中間電動車のデハ1100形、制御付随車のクハ1200形で構成されています。主要機器は各車両に分散して搭載されており、効率的な運用が考慮されています。

入線に際して、パンタグラフの交換や運行番号表示器の封鎖、保安機器の変更などが行われました。また、先頭車には間仕切り用のアコーディオンカーテンが設置され、車内環境の改善が図られました。

冷房化改造の際には、パンタグラフの増設や静止形インバータ (SIV) の搭載が行われました。1999年までにワンマン運転対応工事や座席ユニットの交換、ドアチャイムの設置などが実施され、利便性が向上しました。

車体塗装

登場当初はレモンイエローにブラウン帯の塗装でしたが、後に白地に青と赤の帯のデザインに変更されました。また、国鉄色を模したリバイバル塗装も施され、鉄道ファンから人気を集めました。

リバイバル塗装

鉄道博物館の開館に合わせて、一部編成には国鉄時代の塗装が再現されました。オレンジバーミリオン、スカイブルー、カナリアイエロー、ウグイス色の4種類が登場し、イベント列車などで活躍しました。

2009年からは、秩父鉄道の旧型車両で使用されていた塗色に変更される編成も現れました。小豆色とクリーム色のツートンカラーや、登場時の黄色に茶色の帯の塗装などが再現され、往年の姿を偲ばせました。

ヘッドマーク装着

イベント開催時には、様々なデザインの特製ヘッドマークが装着されました。鉄道博物館開館記念や沿線の祭りをPRするものなど、バラエティに富んだヘッドマークが列車に華を添えました。

その他

冬季には、ドアの半自動扱いが行われていましたが、本系列には開閉ボタンがなかったため、手でドアを開ける必要がありました。また、秩父鉄道が近年導入した中古車両の中では、最も長く使用された系列でした。

運用

国鉄型車両が乗り入れていた時代から、秩父鉄道の主力として活躍しました。しかし、老朽化のため2008年度から更新が始まり、2014年3月までに全車両が引退しました。

長年にわたり秩父鉄道の輸送を支えた1000系電車。その活躍は、多くの人々の記憶に残ることでしょう。

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