種子島久時 (16代)

種子島久時：鉄砲の名手、島津家の重臣

種子島久時は、戦国時代末期から江戸時代初期にかけて活躍した、島津氏に仕えた武将です。種子島氏の第16代当主として、その名を知られています。 永禄11年（1568年）、種子島氏第14代当主・時尭の次男として誕生しました。兄の時次は15代当主となりましたが若くして亡くなったため、父・時尭が当主の座に復帰。その後、薩摩の島津義久の承認を得て、元服し、16代当主の座に就きました。島津義久は久時の烏帽子親となり、「久」の字を与えています。

島津家の家臣として、久時は数々の戦場を駆け巡ります。沖田畷の戦い、大友氏との戦いなど、重要な合戦に参加し、武勇を振るいました。天正18年（1590年）の小田原征伐にも参戦し、豊臣秀吉に鉄砲200挺を献上したことは、歴史に名を残す出来事となりました。この献上は、種子島が鉄砲生産の中心地であったことを示す重要なエピソードです。

文禄・慶長の役では、島津義弘に従って朝鮮半島に渡海しました。この戦役において、久時の鉄砲術の腕前は、島津軍の勝利に大きく貢献したと言われています。島津軍の圧倒的な強さは、久時を始めとする鉄砲隊の精強な戦闘力によるところが大きいと評されています。 彼の鉄砲の腕前は、当時、非常に高く評価され、その名は広く知れ渡りました。

太閤検地による影響で、文禄4年（1595年）には種子島の領地を一時的に島津以久に与えられ、知覧院に所領を移されましたが、慶長4年（1599年）には種子島に戻されています。その後は、島津義弘、そして忠恒に仕え、家老として活躍しました。

慶長16年（1612年）、44歳でこの世を去りました。後継ぎとなる男子はいませんでしたが、側室が妊娠しており、後に生まれた忠時が家督を継いでいます。久時の墓所は、種子島氏の初代と二代目の墓所である、御坊墓地と御拝塔墓地の両方に存在すると言われています。

種子島久時は、優れた鉄砲の技術と、島津氏への忠誠心で知られる武将でした。数々の戦場で活躍し、島津氏の繁栄に貢献した彼の生涯は、戦国時代の激動期を生き抜いた一人の武将の物語として、後世に語り継がれるべきものです。その名は、鉄砲の名手として、そして島津家における重要な家臣として、今もなお人々の記憶に刻まれています。

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