種間寺

種間寺（たねまじ）について

種間寺は、高知県高知市に位置する真言宗豊山派の寺院です。山号は本尾山、院号は朱雀院で、本尊には薬師如来が祀られています。これは四国八十八箇所の第三十四番札所としても知られており、安産祈願の寺として信仰を集めている場所です。

本尊・真言・詠歌

本尊である薬師如来は、病気を治す仏として広く崇敬されており、寺を訪れる人々に癒しを与えています。本尊の真言は、「おん ころころ せんだりまとうぎ そわか」です。また、境内にはご詠歌もあり、「世の中にまける五穀のたねまでら 深き如来の大悲なりけり」と詠まれ、種間寺の意味を深く表現しています。納経印には当寺の本尊と奥之院の瑠璃光佛が用いられています。

歴史

種間寺の創建伝説は、用明天皇が在位していた時期（585年 - 587年）にさかのぼります。百済から来日した仏師が、四天王寺を建立するために帰国する途中、暴風に遭遇し、秋山の港に漂着しました。この地で薬師如来を刻み、本尾山の頂に安置したことが寺の起源とされています。その後、弘仁年間（810年 – 824年）には著名な僧侶、空海がこの地を訪れ、薬師如来を本尊として安置し、さらには唐から持ち帰った五穀の種を蒔いたことで寺名が定まったと言われています。

村上天皇が天暦年間（947年 - 957年）に「種間」の勅額を下賜するなど、歴史を通じて多くの信仰を集めました。しかし、明治4年（1871年）の神仏分離令によって廃寺となり、跡地には春日神社が創建されました。その後も本尊は移転を重ね、明治13年（1880年）に再興され、現在の地で信仰を続けています。

境内の構成

種間寺の境内は多様な施設が点在しています。中心となる本堂には、毎年3月8日に開帳される薬師如来が祀られており、脇侍の日光月光菩薩立像や不動明王立像もご覧いただけます。

他にも、大師堂や観音堂、地蔵堂などがあり、それぞれ異なる像や尊像が安置されています。特に地蔵堂では水子地蔵坐像が千体地蔵に囲まれており、多くの参拝者が訪れます。また、石鎚神社の祠や種間寺ミニ八十八ヶ所も境内にあり、信仰の場としての一体感を感じることができるでしょう。

境内の中心には鐘楼があり、訪れた人々がここで静かに過ごすことができます。さらに、句碑も数点設置されており、さまざまな文学作品が記されています。境内は美しい自然に囲まれており、訪れるだけで心が安らぎます。

文化財

種間寺には重要文化財が存在します。木造薬師如来坐像や立像、石造手水鉢などがあり、すべてが寺の歴史や文化を語っています。特に木造薬師如来坐像は、大正2年に重要文化財に指定され、平安時代の作とされる価値あるものです。その他の文化財も、市指定の有形文化財として見過ごせない存在です。

アクセス

種間寺へのアクセスは、鉄道やバスでの利用が便利です。JR四国の土讃線・朝倉駅から7.5kmの距離にあり、またとさでん交通のバス「春野庁舎前」からは徒歩0.8kmの距離で訪れることができます。道路からは高知県道279号を利用してより近づくことができ、大型車5台分の駐車場も完備されています。

奥の院

種間寺の奥の院である本尾山奥の院にも訪れることが可能です。薬師瑠璃光如来を祀る簡素な堂がありますが、現在安置されているのは模した石仏です。

このように、種間寺は歴史的な背景と文化的な価値を併せ持つ、訪れる価値のある場所です。信仰の場として多くの人々に寄り添い、心を癒すスポットとして今なお愛されています。

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