稲村ダム

稲村ダムについて

稲村ダム（いなむらダム）は、高知県土佐郡土佐町にある重要な水力発電用のダムです。このダムは一級河川・吉野川水系に位置し、その高さは88メートルのロックフィルダムです。四国電力が管理しており、企業の揚水式水力発電所である本川発電所の上池を形成しています。稲村ダムは、大橋ダムとの間で水を送受信し、最大で61万5,000キロワットの電力を生み出すことができます。

歴史的背景

稲村ダムが建設された背景には、吉野川水系での豊かな河川流量が関係しています。戦後、四国電力はこの流域で多くの水力発電所の建設を進めてきました。地域の経済が発展する中で電力需要が増加し、四国電力は揚水発電所の建設に着手しました。

この技術では、上池と下池の2つの貯水池が必要です。四国電力は、1939年に完成した大橋ダムを下池として利用し、瀬戸川の上流に新たに稲村ダムを築くことにしました。建設は1978年に始まり、当時最新の技術を用いて61万5,000キロワットの認可出力を信頼性高く達成しました。1982年には1号機、1984年には2号機が運転を開始し、完成した稲村ダムは四国最大の水力発電所となりました。

自然環境

稲村ダムは四国山地の稲叢山（いなむらやま）の南側のふもとに位置しています。この地域は自然豊かで、稲叢山を水源とする瀬戸川は独特の渓谷を形成しています。稲村ダムの湖面は大橋ダムより500メートルも高く、そのため気候も異なり、桜が咲くのは毎年4月中旬から下旬頃です。

また、周辺の自然環境を守るために、電力機器は山の地下に設置されており、施工時には地質条件に十分配慮がなされました。稲村ダムからは、地中にトンネルが伸びており、発電所につながっています。これにより、環境に配慮した電力供給が実現されています。

見学・施設

四国電力は、地域の環境教育の一環として、いの町脇ノ山にエネルギープラザ本川を設置し、ダムと発電所の見学を受け入れています。この施設は教育や情報発信の場としても利用されており、訪れる人々に水力発電の重要性を伝えています。

結論

稲村ダムは、電力供給の面だけでなく、地域環境への配慮や教育活動にも積極的なダムです。水力発電を通じて、地域社会の発展に寄与している重要なインフラと言えるでしょう。

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