穂積五百枝

穂積五百枝について

穂積五百枝（ほづみ の いおえ）は、日本の飛鳥時代に活躍した歴史的な人物です。彼の姓は「臣」であり、穂積咋の子とされる系図が残っています。特に注目すべきは、彼が672年に勃発した壬申の乱において、大友皇子（後の弘文天皇）のために召集された軍勢の使者として重要な役割を果たした点です。しかし、彼は計略によって軍権を奪われ、大海人皇子（後の天武天皇）側に転じざるを得なかったという波乱の経歴を持っています。

彼の名に関しては、『日本書紀』において「百枝」と「五百枝」という二つの表記が存在します。「百枝」は「ももえ」と読まれており、後者の「五百枝」はその名の一部が省略された形であると考えられているため、五百枝が正しい名前とする説が有力です。

壬申の乱の背景と穂積五百枝の役割

壬申の乱は、近江大津宮にとって非常に重要な出来事でした。この乱は、大海人皇子が挙兵したことによって引き起こされました。これを受けて、朝廷は急遽、各地に使者を派遣し、鎮圧のための軍の編成に取りかかりました。五百枝は、その使者の一人として大和国に呼ばれ、穂積百足（彼の兄）や物部日向と共に軍の編成を進めました。飛鳥にあった当時の都である「倭京」では、高坂王が留守司として待機しており、彼らは王と協力して軍勢を整えることに務めました。

しかし、壬申の乱における状況は非常に不安定でした。大伴吹負が大海人皇子支持のために数十人の同志を集め、戦闘の準備を進めていたのです。彼は別の留守司である坂上熊毛と協議し、この状況を逆手に取る計略を立てました。その計画は、吹負が外部から高市皇子を名乗って軍に接近し、内部では熊毛が協力するというものでした。高市皇子が美濃におり、大海人皇子のために軍を組織していることを利用して、大和国に虚報を流す目的がありました。

内応とその後

6月29日、吹負は計画を実行に移し、飛鳥寺の西の槻の下に設けられた陣営に侵入しました。内応を得て軍の指揮権を握ることに成功しました。この状況に対して、五百枝と物部日向は何も手を打つことができなかったと伝えられています。別の場所に位置していた兄の穂積百足は呼び寄せられ、不幸にも命を落としました。残された五百枝と日向は監禁されましたが、その後赦されて大海人皇子側の軍に合流することとなりました。

このように、穂積五百枝は壬申の乱を通じて、歴史の激動の中で重要な役割を担った人物として記録されています。彼の行動は、当時の政局に深い影響を及ぼしたと言えるでしょう。今後も彼の歴史的背景や行動が注目されることと思われます。

もう一度検索