物部日向

物部日向（もののべ の ひむか）

物部日向は、飛鳥時代に活躍した日本の歴史上の人物です。氏姓は物部首から物部連、最終的には布留連及び布留宿禰へと変遷しました。彼の父は武蔵臣とされており、物部日向の出自は春日氏の系統に関連しています。具体的には、天足彦国押人命の八世孫の木事命の子、すなわち市川臣を祖とし、物部氏はその一族に位置づけられています。

壬申の乱

物部日向は、672年に起こった壬申の乱において特に重要な役割を果たしました。この乱は、大海人皇子（後の天武天皇）と大友皇子（弘文天皇）との間の権力争いが原因で起こりました。6月下旬に、大海人皇子が挙兵したという情報を受けた近江大津宮の朝廷は、各地に使者を送り、軍を編成して反乱を鎮圧しようとしました。その中に物部日向も名を連ねています。

彼は穂積百足やその弟の穂積五百枝と共に倭京（飛鳥）への使者となり、大和国の軍を編成するために派遣されました。彼らは当時の留守司であった高坂王とも協力し、飛鳥寺の西の槻の下で軍の結成を進めていました。しかし、倭では大伴吹負が大海人皇子のために戦の準備を進めており、6月29日には彼らが飛鳥寺の西の槻の下の陣営に入り、内応を受けて指揮権を掌握します。この混乱の中で、穂積百足は命を失い、物部日向と穂積五百枝は捕らえられ、監禁されることとなりました。

その後、彼らは赦され、大海人皇子側の軍に加わることとなり、関与することで物部日向の名は歴史に刻まれました。

改氏姓

物部日向の氏姓の変遷は興味深いもので、書紀によると、天武天皇12年（683年）の9月2日に物部首から物部連に改名され、その後布留連を経て布留宿禰へと変化しました。『新撰姓氏録』によれば、物部首の「男正五位上日向」に関する記録があり、天武天皇の時代に社地の名によって布留宿禰の姓に改められたとのことです。

この改名の正確な時期は不明ですが、伝承上では天武天皇12年に連姓を賜与されたとされ、氏が物部から布留に chuyển換される時期も一概には断言できません。

日向は正五位上という官位にあり、その存在は701年以降まで続いていた可能性があります。しかし、平安時代の成立をもつ『新撰姓氏録』は、当時までにその位階が修正される可能性も考慮すべきで、物部日向についての伝承には未だ多くの謎が残されています。

参考文献

• - 坂本太郎・家永三郎・井上光貞、大野晋・校注『日本書紀』(五)、岩波書店、岩波文庫、1997年
• - 小島憲之・直木孝次郎・西宮一民・蔵中進・毛利正守校注・訳『日本書紀』3、小学館、新編日本古典文学全集、1998年
• - 田中卓『新撰姓氏録の研究』、国書刊行会،著作集9、1996年

関連項目

• - 飛鳥時代以前の人物一覧
• - 和珥氏

物部日向の歴史の中での位置付けは、飛鳥時代の政局の中で非常に重要な役割を担っており、彼の行動は当時の歴史に影響を与えました。

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