穴太寺

穴太寺について

穴太寺（あなおじ）は、京都府亀岡市曽我部町に位置する天台宗の寺院で、山号は「菩提山」です。この寺院は薬師如来を本尊とし、御本尊である聖観世音菩薩（聖観音）が広く信仰されています。また、穴太寺は西国三十三所第21番札所でもあり、地元や遠方から訪れる人々にとって特別な信仰の場となっています。

名称に関しては、複数の読み方があり、「あなおおじ」「あなうじ」「あのうじ」などと呼ばれることがあります。また、古い表記として「穴穂寺」や「穴生寺」も存在します。

歴史

穴太寺の歴史は古く、宝徳2年（1450年）に成立した『穴太寺観音縁起』によると、開創は慶雲2年（705年）であり、当時の皇帝である文武天皇の勅願によって大伴古麻呂によって設立されたと伝えられています。

特に穴太寺は聖観音像が有名で、「身代わり観音」の伝説にまつわる言い伝えが存在します。この伝説が『今昔物語集』にも登場しており、平安時代の末期には観音霊場として数多くの信者に知られていたことが伺えます。伝説によると、ある男が聖観音像の製作を依頼し、その報酬として自分の名馬を渡した後、後悔から仏師を殺そうとしましたが、聖観音像には矢が刺さっていたことから彼は悔い改めた、とされています。同様の話が『扶桑略記』にも記録されており、この聖観音像は1968年に盗難に遭ったことが伝えられています。

寺は応仁の乱や明智光秀の丹波攻めによる焼失の影響を受けつつも、17世紀中頃には行廣上人によって再興されました。享保13年（1728年）には本堂が焼失しましたが、享保20年（1735年）に再建されています。1896年には本堂の天井裏から釈迦涅槃像が発見されるなど、歴史的な背景を持っている寺院です。

境内の文化財

現在、穴太寺の境内には多くの文化財があります。本堂は1735年に再建された京都府指定の有形文化財で、内陣には鎌倉時代作とされる木造釈迦涅槃像が安置されています。この涅槃像には、触れることで参拝者の病気を癒すとされる伝説があります。さらに、宝永2年（1705年）に建立された念仏堂や、宇治宮成の墓、そして円応院などがあり、これらも亀岡市の指定有形文化財に指定されています。

また、庭園は京都府指定名勝で、江戸時代中期に造られた池泉鑑賞式庭園が広がっており、訪れる人々を楽しませています。その他にも、鎮守堂、稲荷明神社、多宝塔など、数多くの重要文化財が境内には存在します。

行事

穴太寺では毎年1月3日に「福給会」と呼ばれる伝統的な行事が行われており、これは300年以上続くものです。この行事では、本堂から3,000枚の札が巻かれ、その中から拾い上げた番号によってくじが行われます。特に3枚の赤い札を拾った人は、1年間幸せに過ごせるとされています。

アクセス

穴太寺へのアクセスは、JR嵯峨野線の亀岡駅から京阪京都交通バスを利用し、「穴太口」で下車後、徒歩約10分となります。近くには金剛寺や小幡神社もあり、周辺観光にも便利です。

このように、穴太寺は歴史的な背景や数々の文化財を持つだけでなく、信仰の場としても重要な寺院であり、多くの人々に愛されています。

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