空港無線電話

空港無線電話について

空港無線電話は、日本国内の空港における地上業務を円滑に進めるために不可欠な専用の無線通信システムです。特に大規模な空港では、複数のチャンネルを利用できるMCA（Multi-Channel Access）無線技術が採用され、「空港MCA無線」とも呼ばれています。

電波法上の扱い

電波法においては、航空移動業務ではなく、陸上移動業務として扱われます。そのため、無線局の免許も、航空局や航空機局ではなく、電気通信業務用の基地局、陸上移動局、陸上移動中継局として交付されます。

主な特徴

利用エリア: 空港とその周辺地域で利用可能です。
通信機能: 一斉呼出し、グループ通信、個別通信など、柔軟な通信が可能です。
料金体系: 通話料金は定額制で、費用を気にせず利用できます。
端末: 端末機器はレンタルでのみ提供されています。
契約種別: 通常契約（期間を定めない）と臨時契約（短期間利用）の2種類があります。

主な端末機器

携帯型端末電話機: 小型で持ち運び可能な端末。携帯局として利用されます。
車載型端末電話機: トーイングカーなど、空港業務車両に搭載される端末。車載局として利用されます。
卓上型端末電話機: 事務所などに設置され、基地局と有線接続される端末。リモコンとして機能します。
可搬卓上型端末電話機: 基地局と無線接続される端末。こちらもリモコンとして利用されます。

デジタルMCAシステムの導入

2004年12月の東京国際[[空港]]を皮切りに、中部国際[[空港]]（2005年2月）、成田国際[[空港]]（2005年3月）、関西国際空港（2007年5月）、那覇空港（2007年6月）と、主要空港でデジタルMCAシステムが導入されました。

通信方式: 2周波数半複信（プッシュ・ツー・トーク方式）
変調方式: π/4 QPSK
伝送速度: 8kb/s/チャンネル
多重数: 4
周波数帯: 移動局 415.5～417.5MHz、基地局 460～462MHz（25kHz間隔）

アナログMCAシステムの歴史

1990年2月に新東京国際[[空港]]（現在の成田国際[[空港]]）でサービスが開始され、その後、東京国際[[空港]]、那覇空港、関西国際空港にも導入されました。しかし、800MHz帯の周波数再編に伴い、2008年4月25日の成田国際[[空港]]でのサービス終了をもって、すべてデジタル方式に移行しました。

通信方式: 2周波数半複信
変調方式: 周波数変調
周波数帯: 移動局 830.0125～831.9875MHz、基地局 885.0125～886.9875MHz（12.5kHz間隔）

標準規格

電波産業会（ARIB）が、電波法令の技術基準を含む標準規格を策定・公開しています。

ARIB STD-T87: 空港内デジタル移動通信システム
ARIB STD-T114: 空港内デジタル移動通信システム TYPE2

技術基準適合表示

端末機器は、証明規則に基づく適合表示無線設備でなければならず、技適マークの表示が義務付けられています。技術基準適合証明番号または工事設計認証番号の表示も必須であり、空港無線電話を表す記号として、番号の4～5字目に「AW」または「BW」が表示されます。（2013年4月以降の工事設計認証番号には記号表示はありません）。アナログの端末には、番号の英字1字目に「Z」が付与されていました。

関連項目

航空無線

外部リンク

日本空港無線サービス: 成田国際[[空港]]・那覇空港でサービスを提供しています。
AVICOM JAPAN: 東京国際[[空港]]
中部国際[[空港]]情報通信: 中部国際[[空港]]
関西国際空港情報通信ネットワーク: 関西国際空港

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