立山黒部貫光無軌条電車線

無軌条電車線（トロリーバス）

無軌条電車線とは、富山県中新川郡立山町の芦峅寺で立山黒部貫光が運行するトロリーバスのことを指します。この路線は室堂駅と大観峰駅を結ぶ全長3.7キロメートルの区間で、立山黒部アルペンルートを構成する重要な交通手段となっています。通称「立山トンネルトロリーバス」とも呼ばれ、全ての運行区間が立山トンネル内を走り、その天井に架けられた架線から電力を受け取りながら走行します。

このトロリーバス路線は、立山黒部アルペンルートの他の交通機関、例えば室堂駅での立山高原バスや、大観峰駅での立山ロープウェイと連携しています。また、トンネル内での環境保護の観点から、1996年にディーゼルバスからトロリーバスへと転換されました。開業当初はディーゼルバスが使用されていましたが、観光客の増加に伴う排気ガスによる空気の質の悪化が問題となり、環境に優しいトロリーバスへとシフトした経緯があります。

現在の状況

このトロリーバスは、2018年に関電トンネルトロリーバスが運行を終了し、以来日本国内で唯一のトロリーバス路線として運営されてきました。しかし、2023年5月31日に立山黒部貫光から発表されたように、2024年12月1日をもってこのトロリーバス路線は廃止される予定です。その後、翌年の2025年4月には新たに電気バス制度へと移行される計画が進行中です。

この路線の運行形態は、室堂駅（標高2450メートル）から大観峰駅（標高2316メートル）までの所要時間が約10分と短く、通常は30分間隔運行されています。冬季は運休し、全線単線（中間点に信号場あり）で運行されています。

歴史と遺産

無軌条電車線は1971年に開業し、ディーゼルバスでの運行が開始されました。その後、1996年にトロリーバスに転換され、環境への配慮がなされた結果、今日に至るまで観光客に利用され続けてきました。歴史的には、厳しい自然環境の中でも安全に運行できるよう、多くの工夫が凝らされています。

この路線は、たくさんの登山者や観光客に利用されてきたことから、地域経済にも重要な役割を果たしていますが、保守部品の調達が年々難しくなってきています。それに加え、トロリーバスにはデッドマン装置（自動停止装置）の搭載が困難であることも、運行形態の見直しの理由に挙げられています。

まとめ

立山トンネルトロリーバスは、自然環境と観光インフラの調和を図りながら運営されてきた重要な交通機関です。無軌条電車線としての役目が2024年の廃止をもって終わることは、日本国内の輸送手段にとっての大きな変革を意味し、地域の歴史的な一部が失われることにもなります。これからは新しい電気バスが運行される予定ですが、トロリーバスとしての歴史は、訪れる人々にとって忘れがたい思い出となるでしょう。

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