立花鑑門

立花鑑門（たちばな あきかど）は、江戸時代中期、筑後国柳河藩（現在の福岡県柳川市）の世嗣として生まれた人物です。宝暦5年（1755年）に、7代藩主・立花鑑通（あきみち）の長男として柳川城下花畠亭で産声を上げました。母は篠沢藤右衛門の娘・たみ。幼名は富之進と名付けられました。同母弟には、立花監物家・立花致傳（むねつた）の養子となった通玄（みちはる）がいます。

明和3年（1766年）に柳河藩の嫡子となると、安永3年（1774年）には徳川家治に拝謁。翌年には従五位下丹後守に叙任され、天明7年（1787年）には従四位下に任じられるなど、順調にキャリアを重ねていきました。この間、十時兵庫が附役として彼を支えました。

しかし、志半ばにして寛政元年8月11日（1789年9月29日）、江戸において35歳という若さで急逝。家督を継ぐことは叶いませんでした。墓所は広徳寺にあります。鑑門の死後、三弟・通厚（みちはる）が嗣子の座を辞退したため、代わりに四弟・鑑一（あきかず）が嫡子となりました。

鑑門の系譜は以下の通りです。

父：立花鑑通（1730-1798）
母：たみ - 篠沢氏
正室：井伊直幸の娘
継室：井伊直幸の養女 - 小出英常の娘

鑑門は藩主となることなく短い生涯を終えましたが、その死は柳河藩の家督相続に影響を与えました。もし彼が存命であれば、柳河藩の歴史は別の道を辿っていたかもしれません。彼の存在は、藩政における後継者問題の難しさを物語る一例と言えるでしょう。

参考文献

「寛政重修諸家譜」
橋本博「大武鑑・中巻」（名著刊行会）
「旧柳川藩志、上巻」（柳川、山門、三池教育会、昭和32年）
「柳川市史別冊　図説立花家記」（平成22年（2010年）、福岡県柳川市、柳川市史編集委員会編集）

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