竜骨 (生薬)

竜骨（りゅうこつ）

竜骨とは、ゾウ、サイ、ウマ、シカ、イノシシ、ウシなど、大型哺乳類の骨が化石化したものを原料とする生薬の一種です。中国語では「lónggǔ（ロンクー）」、ラテン語では「Fossilia Ossis Mastodi」または「Os Draconis」と表記されます。また、哺乳類の歯牙の化石を原料とする類似の生薬として竜歯（りゅうし、longchi、Dens Draconis）があります。

薬効

竜骨は、医薬品として日本薬局方に掲載されている生薬であり、鎮静作用と収斂作用があります。主成分は炭酸カルシウム（50〜80%）やリン酸カルシウムなどです。柴胡加竜骨牡蛎湯（さいこかりゅうこつぼれいとう）や桂枝加竜骨牡蛎湯（けいしかりゅうこつぼれいとう）といった漢方薬に配合されています。

基原

竜骨の基原となる動物は、ゾウ、サイ、ウマ、シカ、イノシシ、ウシなど多岐にわたります。中にはナウマンゾウのように絶滅してしまった動物も含まれます。

現在、竜骨は主に中国から輸入されていますが、化石であるため、資源の枯渇が懸念されています。また、煮た牛骨などを粉砕し、石灰水に浸けて表面をザラザラにした偽物も存在します。本物の竜骨は、舐めると舌に吸い付くような感触があると言われています。これは、化石が多孔質であるため、水分を吸着しやすい性質によるものです。

その他の事項

亀甲獣骨文字（甲骨文字）は、王懿栄が竜骨を持病の治療薬として求めた際、文字が書かれた骨を発見したことがきっかけで発見されたと言われています。また、北京原人の化石は、竜骨の産地として知られる周口店竜骨山で発見されました。

正倉院には、動物化石由来の薬物として、竜骨（シカ類の角）、白竜骨（シカ類やハイエナ類の骨と歯）、竜角（シカ類の角）、五色竜歯（ゾウ類の歯）が収蔵されています。なお、似竜骨石は珪化木のことであり、江戸時代には珪化木が竜骨として輸入されることもありました。

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