竹崎季長

竹崎季長の生涯と功績

竹崎季長（たけざき すえなが、1246年 - 1324年以降）は、鎌倉時代中期の武士で、鎌倉幕府の御家人として知られています。特に、彼の戦功が描かれた『蒙古襲来絵詞』を通じてその名が広まりました。季長は肥後国竹崎郷（現熊本県宇城市松橋町）の出身であり、菊池氏の一族にあたります。しかし、彼は同じ一族内の領地争いで敗北し、家計は困窮していました。

季長の名を歴史に刻むのは、文永11年（1274年）の元寇における第1次侵攻の際の戦闘です。この時、彼は少弐景資を総大将とする日本軍に参加します。彼は、主従五騎という少数の部隊で元軍に果敢に立ち向かいました。景資の計画では、一斉に元軍に騎射を射かけるという戦法がとられる予定でしたが、季長はその計画に先立ち、元軍に対し先駆けることを申し出て許可されました。

戦局は厳しく、赤坂ではすでに菊池武房率いる武士団が元軍に勝利を収めていたものの、季長はその後を追って鳥飼潟へと進出します。そこで彼の部隊は元軍と接触し、負傷者を出しつつも戦闘を続け、結果的には後続の日本軍と連携して元軍を撃退します。この戦いの結果、元軍は博多湾から撤退することとなり、季長は多くの武士の中で重要な役割を果たしました。

しかし、季長の武功は戦功として認められなかったため、彼は鎌倉幕府に対して自らの功績を訴えることを決意します。1275年、彼は旅行費用を捻出し、鎌倉に赴いて直訴し、肥後国海東郷の地頭に任じられ恩賞が与えられることとなりました。これ以降も、農地の修理や祭りについての取り決めを定めるなど、地域の発展に寄与しました。

続く弘安4年（1281年）には、元の第2次侵攻が発生し、安達盛宗の指揮の下、志賀島などでの戦闘活動を行います。そこで彼は元兵の首を取るなどの活躍を果たし、大いに功名を挙げました。このように季長は何度も元軍との戦闘において称賛される成果を上げ、戦後の1293年には自身の武功をテーマに『蒙古襲来絵詞』を描くよう命じ、記録を後世に残しました。

彼はその後出家し、法名を法喜と称し、菩提寺・塔福寺を建立しました。地元の神社に修理費用を寄進するなど、地域社会への貢献を続けますが、その後の消息は明らかではありません。季長は宇城市小川町東海東の塔福寺に葬られており、その近くには竹崎季長のものとされる墓があります。

近代になると、大正時代に彼の名を後世に伝えるための議論が生まれ、1914年に従三位が追贈され、敬称は「竹崎季長卿」となりました。季長は日本の武士の中でも特に評価される存在となり、その栄誉は今なお語り継がれています。竹崎季長の歴史的意義は、彼の勇敢な戦闘と、その後の地域貢献にあります。

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