竹本政太夫

竹本政太夫の歴史と業績

竹本政太夫（たけもと まさたゆう）は、義太夫節の太夫として名を馳せる存在であり、彼の名は代々受け継がれてきました。今日、政太夫と呼ばれるその名跡は、演劇界における重要な位置を占めています。政太夫の定紋、源氏車は、初演時の伝統に由来しており、特に『義経千本桜』において使われています。このように、彼の名は伝統とともに生き続けています。

初代竹本政太夫の生涯

初代の政太夫は、元禄4年（1691年）に誕生し、延享元年（1744年）に没しました。本名は紅屋長四郎であり、浄瑠璃や音曲に早くから親しみました。早くから竹本義太夫に入門しましたが、その声が小さかったため、竹本座には出演できず、豊竹座で「和歌竹政太夫」と名乗って活動を開始しました。

1712年、師の許可を得て竹本座に出仕し、次第に頭角を現しました。1714年に師である義太夫が死去し、後継者争いが起こる中で、彼は1715年に竹本姓を名乗ることを許され、竹本政太夫に改名します。彼は1716年に『国性爺合戦』の三段目を語り、多大な成功を収めます。その後も数年にわたり活躍し、1734年に師名の義太夫を襲名しました。1735年には竹本上総少掾藤原喜教に、1737年には初代竹本播磨少掾を名乗りました。小声ながらもその語りは人間の描写に秀で、特に人情物において彼の評判は非常に高かったとされています。

二代目竹本政太夫

次に二代目竹本政太夫は、宝永7年（1710年）に生まれ、明和2年（1765年）に没しました。本名は薩摩屋重兵衛で、大阪市で魚屋を営んでいました。そのため、彼は「雑喉場政太夫」とも呼ばれています。

彼もまた初代の門弟であり、1743年に竹本座に入座し、その芸を受け継ぎました。1750年代には『仮名手本忠臣蔵』などで活躍し、その名声を高めました。

三代目竹本政太夫

三代目は享保17年（1732年）に生まれ、文化8年（1811年）に亡くなります。通称は播磨屋利兵衛で、初代の門下にあり、1767年に政太夫を名乗ります。彼は多くのトラブルを抱えながらも、登場人物の語り分けに秀で、大坂や江戸での人気を不動のものとしました。特に話題となったのは『心中天網島』です。

四代目竹本政太夫

四代目は寛延3年（1750年）に生まれ、天保4年まで活躍しました。三代目の門弟であり、「若狭屋藤助」を通称としました。彼はさまざまな芝居に出仕し、四代目竹本政太夫として名を広めました。

五代目竹本政太夫

五代目は安永9年（1780年）に生まれ、天保11年に没しました。師匠の前名を受け継ぎ、約34年間名乗りましたが、名跡を継いだのは少なく、晩年には病気により休演しました。

六代目竹本政太夫

六代目は文政7年に生まれ、1886年に亡くなりました。彼は豊竹山城掾の門弟であり、多くの業績を残しました。しかし、彼もまた名跡を受け継ぐことなく引退しました。

まとめ

竹本政太夫の名跡は、義太夫節の中で重要な役割を果たし、各代にわたって多くの優れた演技を残しています。政太夫たちは、伝統の中で新しいスタイルを模索しつつ、大衆の支持を得ることで、日本の演劇界に影響を与えてきました。彼らの業績は、後の世代にも伝えられ、これからも浄瑠璃という芸能の中で生き続けることでしょう。

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