笑福亭枝鶴 (6代目)

六代目 笑福亭 枝鶴

六代目 笑福亭 枝鶴（しょうふくてい しかく）は、1957年6月26日生まれ、大阪市福島区出身の上方落語家です。本名を松高 良和といい、現在は松竹芸能に所属し、上方落語協会の会員でもあります。

枝鶴氏は、1975年1月1日に5代目笑福亭枝鶴に入門しました。高校時代には大阪府立摂津高等学校の落語研究会に所属し、「摂笑亭和輔」という高座名で活動していました。高校卒業後の1976年12月には、新世界新花月で初舞台を踏み、プロの道を歩み始めます。

特に注目を集めたのは、1978年から出演した毎日放送の番組「スタジオ2時」内のコーナー「テレビ歌謡体操」です。ここで「体操のお兄さん」として人気を博し、広く知られる存在となりました。

しかし、枝鶴氏の落語家としてのキャリアは、師弟関係において複雑な局面を迎えます。師匠である5代目笑福亭枝鶴が、たびたび破門と復帰を繰り返すという不安定な状況にあったため、1984年には大師匠にあたる6代目笑福亭松鶴の門下へと移ることを選択しました。後に5代目枝鶴は再び復帰しますが、枝鶴氏（当時は小つる）はそのまま6代目松鶴の弟子として扱われることになります。

落語家としての活動と並行して、枝鶴氏は多方面で才能を発揮しました。1982年12月14日には、桂小春氏（現在の3代目桂小春団治氏）やMAKOTO氏（現在の北野誠氏）と共にコントユニット「ギャグ性感隊」を結成し、活動しています。

大師匠である6代目松鶴は1986年9月5日に死去しました。翌1987年に行われた一周忌記念落語会では、本来大トリを務めるはずだった元師匠の5代目枝鶴氏が欠席するという事態が発生します。この一件が引き金となり、5代目枝鶴氏は所属事務所である松竹芸能との契約を解除され、上方落語協会からも追放されて芸能界を完全に引退することになりました。この出来事以降、枝鶴氏（小つる）と元師匠の5代目枝鶴氏は音信不通になったといいます。

枝鶴氏は現在も、香川県で開催されている「かがわ落語塾」において、塾長として大人や子供たちに落語を指導するなど、後進の育成にも力を入れています。また、過去にはKBS滋賀の「さんさんわいど滋賀」や山口放送ラジオの「ネットDEドタキャン」、テレビ山口の「テレビ山口くん」、西日本放送の「情報てんこもりラジオでDON」「日曜V!V!V!テレビ」、ラジオ大阪の「おはよう落語」など、数多くのテレビやラジオ番組で司会を務めるなど、多岐にわたるメディアで活躍しました。テレビドラマへの出演経験もあります。

長らく「小つる」の高座名で活動していましたが、2008年7月12日に「六代目笑福亭枝鶴」を襲名することが発表されました。そして2010年10月22日、国立文楽劇場での襲名披露興行を皮切りに、天満天神繁昌亭、旧金毘羅大芝居、ルネッサながとといった各地で盛大な襲名披露公演を行いました。

落語家としての活動は順調に見えましたが、2022年2月15日には、弟子の笑福亭鶴太氏が廃業するという出来事がありました。廃業の具体的な理由は公表されていません。

そして、2025年6月9日に行われた、同年9月開催予定の独演会「芸歴五十年記念の会in心斎橋角座」の記者発表会において、枝鶴氏は衝撃的な事実を公表しました。それは、自身の元師匠である5代目枝鶴氏が、2018年1月8日に大阪市大正区で死去していたという事実です。さらに、5代目枝鶴氏が晩年、生活保護を受けながら認知症を患い、施設に入所していたという辛い状況も明らかにしました。枝鶴氏は、5代目枝鶴氏の死去を知った際、6代目松鶴一門の総領弟子であった三代目笑福亭仁鶴氏（2021年没）が大きなショックを受けることを懸念し、その存命中に公表を控えていたと説明しました。自身の芸歴50周年という節目を迎える本年を、かつての師匠の死を公に伝える適切なタイミングとして選んだことを明かしています。

六代目笑福亭枝鶴氏は、「体操のお兄さん」としての顔を持ち、師匠を二度持つという複雑な経緯を経て「枝鶴」の名跡を襲名した異色の落語家であり、多方面での活動経験、そして師弟関係における深い思いを抱える人物として知られています。

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