笠井幹夫

笠井幹夫（かさい みきお）は、日本の声楽家であり、テノールとカウンターテノールの両方をこなす卓越した才能を持つオペラ歌手です。三重県伊勢市出身で、IMT伊勢音楽劇場を主宰し、地域における音楽文化の振興にも尽力しています。

経歴

三重県立伊勢高等学校を卒業後、慶應義塾大学商学部に進学。大学在学中は、男声合唱団である慶應義塾ワグネル・ソサィエティーに所属し、音楽への関心を深めました。その後、同大学院商学研究科を中退し、東京芸術大学声楽科に入学、さらに同大学院独唱科を修了しました。声楽を畑中良輔、アントン・デルモータ、ワルター・モーアの各氏に師事し、発声法を疋田生次郎、アンドレア・バランドーニ、木下武久の各氏に、指揮法を伊藤栄一氏に学びました。幅広いジャンルの音楽を深く理解し、高度な歌唱技術を習得しました。

1974年、東京室内歌劇場公演のブリテン作曲『小さな煙突掃除』のマックス役でオペラデビューを果たしました。1978年には、シューベルトの歌曲集『美しき水車小屋の娘』で初のソロリサイタルを開催し、その才能を広く知らしめました。その後、モーツァルトの『魔笛』タミーノ役、『コジ・ファン・トゥッテ』フェランド役、『ドン・ジョヴァンニ』ドン・オッターヴィオ役、ニコライの『ウインザーの陽気な女房達』フェントン役、レオンカバッロの『道化師』ペッペ役、ウェーバーの『オベロン』タイトルロール、ブリテンの『真夏の夜の夢』ライサンダー役、オッフェンバックの『天国と地獄』オルフェウス役、ヨハン・シュトラウス2世の『こうもり』アルフレード役、アイゼンシュタイン役など、数多くのオペラやオペレッタに出演し、観客を魅了しました。

1999年には、イタリアのフラスキーニ歌劇場とラウロ・ロッシ歌劇場で、團伊玖磨作曲のオペラ『夕鶴』の与ひょう役を演じ、海外でも高い評価を得ました。2003年には、ビゼーの『カルメン』でドン・ホセ役を演じ、その演技力と歌唱力は新聞や音楽雑誌でも絶賛されました。

オペラだけでなく、ヘンデルの『メサイア』、モーツァルトの『レクィエム』や『戴冠ミサ』、ロッシーニの『小荘厳ミサ』、ベートーヴェンの『第九』など、宗教曲のソリストとしても活躍しています。近年では、2013年に伊勢市民オペレッタ『こうもり』の音楽監督を務め、2021年には伊勢市民オペラ『ヘンゼルとグレーテル』の音楽監督を務めるなど、オペラの指揮や演出、プロデュースの分野でも才能を発揮しています。また、元神戸オペラ協会会員であり、現在は日本演奏連盟、青の会、東京二期会の会員として活動しています。

1999年、「伊勢志摩にもっと音楽文化を！」という理念のもと、IMT伊勢音楽劇場を設立し、地域における音楽文化の普及と発展に貢献しています。後進の育成にも力を注ぎ、次世代の音楽家を育成しています。

受賞歴

2004年度 三重県文化奨励賞
2007年度 三銀ふるさと三重文化賞

外部リンク

IMT伊勢音楽劇場)

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