笠縫信号所

笠縫信号所について

笠縫信号所（または笠縫信号場、読み：かさぬいしんごうじょ）は、かつて埼玉県飯能市に所在した西武鉄道池袋線の信号場です。この信号場は、元加治駅と飯能駅の間に位置し、該当区間の複線部分と単線部分の境界を示す重要な役割を担っていました。今回の記事では、笠縫信号所の歴史や関連する複線化の進展について詳しく解説します。

幕開け

池袋線の複線化は、1946年（昭和21年）に開始されました。これは主に輸送力の増強を目指した事業であり、着工から20年以上が経過した後、池袋駅から入間市駅までの複線化が進められました。しかし、元加治駅から先の区間では日本国有鉄道（国鉄）八高線とのアンダークロスや、飯能市街地での用地確保の問題があり、複線化は長らく進展しませんでした。

こうした事情から、1969年（昭和44年）に元加治駅から飯能駅に向かって複線化工事が開始され、信号場として初代の笠縫信号所が設置されました。この信号所の名称は、近隣の大字「笠縫」に由来しています。初代の場合、元加治駅から1.1km、飯能駅から1.5kmという位置関係がありました。

複線化の進展

その後、1975年（昭和50年）3月20日に入間市駅 - 仏子駅間が複線化され、池袋駅から笠縫信号所までの複線区間が連続するようになりました。これにより、しばらく安定した運行が可能になりましたが、1988年（昭和63年）に八高線のオーバークロス部分がガーダー橋からコンクリート高架橋へと改修されると、再度複線化に向けた動きが加速しました。新たな複線化用地が確保され、笠縫信号所は0.6km飯能寄りに移設され、二代目の笠縫信号場となりました。このときの位置は、元加治から1.8km、飯能から0.9kmとなりました。

廃止とその後

1993年（平成5年）頃には信号所の名称が「信号場」に変更され、1998年（平成10年）3月には複線化工事のさらなる進展により、笠縫信号場は廃止されました。この廃止により、名目上は池袋駅から飯能駅間の複線化が完結しましたが、実際には飯能駅構内に単線部分が残り続けました。2001年（平成13年）12月6日に、ようやくこの単線部分も解消され、池袋駅から飯能駅までの完全複線化が達成されました。また、笠縫信号場跡地は今後の複線化用地として転用されているため、当時の痕跡を確認することはできません。

未来の展望

二代目の信号場跡地近くには、東飯能駅への短絡線を建設する計画があり、すでに用地も確保されていますが、工事は無期限で停止されている状態です。着工の見通しは立っていないため、今後の動向は不透明と言えるでしょう。笠縫信号所の歴史は、西武鉄道池袋線の発展の一端を担ってきたことを示す重要な証拠となっています。

このように、笠縫信号所は単なる信号地点ではなく、池袋線の複線化プロジェクトにおける重要な役割を持っていたのです。

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