第三千曲川橋梁 (北陸新幹線)

第三千曲川橋梁は、長野県千曲市と長野市の間を流れる千曲川に架かる、北陸新幹線の重要な橋梁です。上田駅と長野駅の間に位置し、その全長は557.1メートルに及びます。この橋梁は、鉄道構造物として、騒音対策、経済性、そして維持管理の容易さという、現代的な要請に応えるために様々な工夫が凝らされています。

構造と設計

橋梁の形式は、鋼3径間下路連続ワーレントラス橋2連という構造が採用されています。これは、複数のトラス構造を連結することで、より長い距離を支えることができるようにしたものです。活荷重はP-16という基準で設計されており、これは鉄道橋として十分な強度を持つことを意味します。橋の幅員は10.7メートルで、複線の線路が敷設されています。

床版はスラブ軌道直結式が採用されており、これは線路と橋桁を直接結合させることで、列車の走行安定性を高める構造です。総鋼重は3,082トンに達し、その巨大さが窺えます。橋脚の基礎には、ニューマチックケーソン基礎（P2 - P6橋脚）と場所打ち杭基礎（P1, P7橋脚）が用いられています。これは、地盤の状況に応じて最適な基礎構造を選択することで、橋梁全体の安定性を確保するためです。

設計は日本構造橋梁研究所が担当し、施工は横河ブリッジ・川崎重工業・サクラダ・トピー工業JV、石川島播磨重工業・宮地鐵工所・東京鐵骨橋梁JVといった、日本の主要な橋梁メーカーが共同で行いました。架設工法としては、高水敷部にはトラッククレーンベント工法、低水敷部にはトラベラクレーンカンチレバー工法が採用されています。

特徴

第三千曲川橋梁は、騒音対策としてコンクリート床版が施されています。しかし、鋼トラス桁のメリットである低自重を損なわないよう、コンクリートには軽量骨材コンクリートを採用し、橋梁構造の経済化を図っています。また、耐候性さび安定化処理を施した耐候性鋼を用いることで、保守管理の低減にも貢献しています。

歴史

北陸新幹線の軽井沢駅 - 長野駅間は1991年（平成3年）夏に起工されました。第三千曲川橋梁の下部工は、P1, P7橋脚がオールケーシング工法の直径1.5メートルの場所打ち杭基礎、P2 - P6橋脚がニューマチックケーソン基礎工法によるケーソン基礎であり、非出水期の11月 - 5月の施行で2年を要しました。上部工は高水敷部を非出水期のトラッククレーンベント工法、低水敷部を通年のトラベラクレーンカンチレバー工法によって架設されました。

第三千曲川橋梁は1996年（平成8年）3月に竣工し、1997年（平成9年）10月1日に開通を迎え、供用を開始しました。

第三千曲川橋梁は、北陸新幹線の安全性と快適性を支える重要な構造物であり、その設計、施工、そして維持管理には、日本の最先端の技術とノウハウが投入されています。

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