第三次マイソール戦争

第三次マイソール戦争の概要

第三次マイソール戦争は、1789年から1792年にかけて南インドで行われた重要な軍事衝突であり、イギリス東インド会社とマイソール王国の間に展開されました。この戦争は、マイソール王国の君主ティプー・スルターンによるケーララ地方への進出がきっかけとなり、イギリスがマラーター王国やニザーム王国と連携して反撃に転じました。最終的には、マイソール王国の首都シュリーランガパトナが包囲され、講和後には多くの領土を失う結果となったのです。

開戦に至る背景

第三次マイソール戦争の背景には、1784年に終わった第二次マイソール戦争後の不安定な南インドの政治情勢があります。マイソール王国は、1785年以降、マラーター王国との緊張状態にありました。これは、マラーター王国がイギリスと結んだ条約によって、自国の約束を裏切られたと感じたティプー・スルターンの恨みが要因でした。さらに、マイソール王国による侵攻もあって、マラーターとニザーム王国は警戒心を強め、マイソールとの対立が続くこととなったのです。

イギリスの介入

また、イギリスもこの状況を利用し、マイソール王国の影響力を排除しようと画策しました。1788年には、ニザーム王国から北サルカールのグンドゥールを獲得し、さらにマイソール領に対する軍事的圧力を強化していきました。これにより、イギリスの動きはマイソール王国に対する直接的な挑戦となり、戦争の火種が育まれることとなったのです。

開戦の経過

戦争は1789年に始まりました。この年、マイソール王国の領地で反乱が起き、ティプーは軍を派遣してこれを鎮圧しましたが、反乱者たちは逃亡し、トラヴァンコール王国に侵入しました。12月にはティプー・スルターンが再びトラヴァンコールに軍を進め、両国の戦闘が始まります。

イギリスは、これを条約違反としてマイソールに宣戦布告。そして1789年5月、イギリス軍の指揮官メドウズがトラヴァンコールへと進軍し、戦闘は悪化の一途を辿りました。ティプーの軍は予想を超えた損害を受けつつ、各地でイギリス軍と戦います。しかし、度重なる戦闘はマイソールの国力を徐々に削っていきました。

三者連合軍の形成

1790年には、イギリスがマラーター王国とニザーム王国との同盟を結び、三者連合軍を形成しました。これにより、マイソールは前線での戦闘がますます厳しくなりました。イギリスと同盟軍は、どんどん領土を広げていき、1791年にはシュリーランガパトナへの進攻を開始しました。しかし、シュリーランガパトナの守備は決して甘くなく、イギリス軍は包囲戦の難しさを痛感します。

降伏と講和

1792年になると、イギリスはついにシュリーランガパトナを包囲し、ティプーは降伏を余儀なくされました。この降伏は、シュリーランガパトナ条約という形で締結され、マイソール王国はその領土の半分以上をイギリスと同盟国に譲ることとなりました。両者の交渉は、ティプーが高額な賠償金を支払うことを強いられる結果となり、彼は悲痛な思いで自らの子供たちを人質として差し出さざるを得なくなりました。

結論

この戦争は、南インドにおける英国の植民地政策において重要な転機をもたらし、マイソール王国の国力を大きく削減しました。ティプー・スルターンの抵抗は歴史に名を刻むものであり、彼の戦術や思想は今日でも評価されています。この戦争がもたらした影響は、後のインドの歴史にまで及んでおり、地域のパワーバランスを変える大きな契機となりました。

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