第二五二海軍航空隊

第二五二海軍航空隊：激戦の軌跡

第二五二海軍航空隊は、太平洋戦争中に日本海軍に所属した戦闘機部隊です。その活動は、護衛、迎撃、戦闘、特攻、陸戦と多岐にわたり、太平洋各地で激しい戦いを繰り広げました。

創設と初期の活動

1942年9月20日、木更津飛行場にて開隊した第二五二海軍航空隊は、第十一航空艦隊第二二航空戦隊に編入され、戦闘機60機を定数としました。当初は木更津で訓練に励んでいましたが、ソロモン諸島での連合軍の反攻が激化するにつれて、ラバウルへの進出を命じられます。

1942年11月、空母「大鷹」に搭載され木更津を出発、ラバウルに到着。ガダルカナル島ルンガ岬陣地の爆撃隊護衛を皮切りに、連合軍の空襲部隊を迎撃。12月にはニュージョージア島ムンダ飛行場へ分遣隊を進出させるも、連日の空襲により壊滅、ムンダ飛行場を放棄せざるを得ませんでした。その後、ブナ守備隊の玉砕、ガダルカナル島撤退作戦（ケ号作戦）を支援するため、ブイン、バラレ島へ進出しました。1943年3月には、陸軍爆撃機のブナ攻撃直衛任務において、連合軍戦闘機約20機と交戦し、18機の撃墜（不確実含む）を報告しています。

マーシャル諸島方面での戦い

1943年2月、第二五二海軍航空隊はバラレからカビエンへ、さらにマーシャル諸島方面へと転進。クェゼリン環礁、ウェーク島、ナウル島、マロエラップ環礁などに展開しました。4月にはナウルで敵機の襲来を迎撃、7月にはウェーク島での防空戦でB-24を撃墜するも、多くの機体を失います。9月には南鳥島への敵機動部隊襲来に対処、タラワ島への派遣や、11月にはギルバート諸島、ナウルで展開されるタラワ上陸作戦への迎撃戦などに参加しました。マキン島の艦船攻撃では、爆装した零戦が多数撃墜されるなど、損害が続出しました。12月にはマーシャル諸島各地への米軍機による空襲が激化、12月25日にはマキン島飛行場を強襲しましたが、翌1944年1月にはクェゼリン環礁への米軍上陸作戦が開始され、マロエラップに延べ90機が襲来、機体は払底、搭乗員は脱出を余儀なくされました。

戦力再編と硫黄島、フィリピンでの戦い

1944年2月、舟木中佐を新司令官として再編を開始。3月には三沢飛行場、大湊海軍航空隊樺山飛行場に進出し、訓練と哨戒に従事しました。6月には横須賀海軍航空隊と連合し「八幡空襲部隊」を結成。東号作戦発動により、厚木飛行場に進出、その後は硫黄島にも散発的に進出しました。硫黄島では連日の空襲により戦力を消耗、7月には機体を全損し作戦行動不能に陥りました。10月からは捷号作戦が発動され、第二五二海軍航空隊はフィリピンに進出、レイテ沖海戦に呼応した航空総攻撃に参加しました。しかし、連日の戦闘で損害を出し、二〇一空に編入される飛行隊も現れました。11月には硫黄島残留部隊がサイパン島アスリート飛行場への強襲作戦「第一御盾隊」に参加。特攻ではなく、生還を前提とした作戦でしたが、結果的に全機が失われるという悲劇に見舞われました。

本土防空戦と終戦

1945年2月、戦力再編が行われ、四個飛行隊に改編。関東への敵機動部隊艦載機による空襲が激化する中、迎撃戦に臨みます。3月には、沖縄方面への戦力投入のため、特攻作戦「菊水一号作戦」に「第三御盾隊」として参加。多くの機体と搭乗員を失いました。その後、本土決戦に備えて温存策がとられ、郡山に逼塞、終戦を迎えます。

第二五二海軍航空隊は、太平洋戦争の激戦を生き抜いた部隊であり、多くの搭乗員が戦火に散りました。その戦いの軌跡は、太平洋戦争における日本海軍航空隊の苦闘を物語っています。

主力機種

• - 零式艦上戦闘機
• - 彗星 (攻撃第3飛行隊)

歴代司令

• - 柳村義種 大佐：1942年9月20日 -
• - 舟木忠夫 中佐：1944年2月20日 -
• - 藤松達次 大佐：1944年7月10日 -
• - 斎藤正久 大佐：1944年11月15日 -
• - 榊原喜与二 中佐：1945年6月 - 終戦後解隊

参考文献

• - 『日本海軍編制事典』（芙蓉書房出版　2003年）
• - 『航空隊戦史』（新人物往来社　2001年）
• - 『日本海軍航空史2』（時事通信社　1969年）
• - 『戦史叢書　海軍航空概史』（朝雲新聞社　1976年）
• - 『戦史叢書　南東方面海軍作戦（2）』（朝雲新聞社　1975年）
• - 『戦史叢書　南東方面海軍作戦（3）』（朝雲新聞社　1976年）
• - 『戦史叢書　中部太平洋方面海軍作戦2』（朝雲新聞社　1973年）
• - 『戦史叢書　マリアナ沖海戦』（朝雲新聞社　1968年）
• - 『戦史叢書　海軍捷号作戦（2）』（朝雲新聞社　1972年）
• - 『戦史叢書　沖縄方面海軍作戦』（朝雲新聞社　1968年）
• - 『戦史叢書　本土方面海軍作戦』（朝雲新聞社　1975年）
• - 『連合艦隊海空戦戦闘詳報別巻1』（アテネ書房　1996年）
• - 秦郁彦・伊沢保穂著『日本海軍戦闘機隊 戦歴と航空隊史話』大日本絵画、2010年。

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