大湊海軍航空隊
大湊海軍航空隊について
大湊海軍航空隊は、日本海軍に所属していた航空部隊の一つで、主に大湊要港部と千島列島から三陸沖にかけての海域における偵察、対潜哨戒、そして船団護衛の任務を担っていました。
歴史
日露戦争の勃発時に開設された大湊要港を拠点とし、北海道と千島方面の防空を強化するために、1933年（昭和8年）に芦崎砂州の根元に建設された水上機基地で発足しました。この航空隊は、舞鶴海軍航空隊や鎮海海軍航空隊よりも早く、要港部としては初めて航空隊を併設しました。北方警備とともに、館山海軍航空隊と連携し、三陸東方海上の哨戒も重要な任務としていました。
九六式陸上攻撃機の量産が進むと、千歳海軍航空隊が本格的に運用を開始するまでの間、長距離哨戒の主力として活躍しました。尾翼の識別記号は、先に開隊していた大村海軍航空隊との区別のため、「オミ」と機体番号で表記されました。
- - 1933年（昭和8年）11月1日：大湊要港部隷下として開隊。
- - 1937年（昭和12年）8月13日：日華事変の激化に伴い、第二三航空隊を新編し、4機を供出。
- - 1939年（昭和14年）10月1日：千歳海軍航空隊が新編され、北方警備任務を移譲。
- - 1941年（昭和16年）
- 11月20日：大湊要港部が警備府に改編され、大湊警備府部隊（略称「大警部隊」）に編入。
- 12月：太平洋戦争開戦とともに哨戒任務を開始。
- - 1942年（昭和17年）
- 10月11日：宮古沖で潜水艦ノーチラスを発見し、3日間の掃討作戦で撃破。
- - 1943年（昭和18年）
- 6月16日：東通沖で潜水艦ランナーを発見、爆撃。
- 6月24日：ランナーを再発見、爆撃。ランナーは敷設艇白神などにより撃沈。
- 9月17日：尻屋崎沖で船団護衛中に潜水艦ポンパーノの流出油を発見、爆撃。ポンパーノは敷設特務艇葦埼などにより撃沈。
- 9月18日：小樽沖で潜水艦を発見、爆撃。戦果なし。
- 10月11日：宗谷海峡の陸軍宗谷臨時要塞から潜水艦ワフー発見の報告を受け、反復爆撃と水上艦誘導を実施。ワフーは第一五号駆潜艇などにより撃沈。
- - 1944年（昭和19年）
- 9月頃：樺山飛行場の緊急造成を開始。
- 12月15日：内戦作戦航空隊を改編し、九〇三空に編入され大湊派遣隊に変更。
大湊海軍航空隊は、戦時中、大警部隊の主力として対潜掃討作戦で大きな成果を挙げましたが、九〇三空に編入される頃には、対潜攻撃の効果は低下していました。緊急造成を進めていた樺山飛行場も十分に活用されることなく終戦を迎えることとなりました。また、終戦間際には津軽海峡を横断する航路への空襲を阻止することもできませんでした。
戦後、大湊水上機基地は海上自衛隊大湊航空基地として利用されており、樺山飛行場も海上自衛隊樺山送信所として、滑走路が現存し、通信塔が多数設置されています。
主力機種
歴代司令
- - 吉良俊一 中佐：1933年11月1日 - 1935年10月31日
- - 市来政章 中佐：1935年10月31日 -
- - 加来止男 中佐：1936年12月1日 - 1937年12月15日
- - 蒲瀬和足 大佐：1937年12月15日 - 1938年6月15日
- - 古川保 中佐：1938年6月15日 - 1939年11月15日
- - 松岡知行 大佐：1939年11月15日 - 1940年10月15日
- - 井上左馬二 中佐：1940年10月15日 - 1941年6月25日
- - 堀九郎 大佐：1941年6月25日 - 1941年12月15日（九〇三空に統合）
位置情報
- - 北緯41度14分9.76秒 東経141度8分6.19秒
参考文献
- - 『日本海軍編制事典』（芙蓉書房出版 2003年）
- - 『航空隊戦史』（新人物往来社 2001年）
- - 『日本海軍航空史2』（時事通信社 1969年）
- - 『戦史叢書 海軍航空概史』（朝雲新聞社 1976年）
- - 『戦史叢書 本土方面海軍作戦』（朝雲新聞社 1975年）
- - 『潜水艦攻撃 日本軍が撃沈破した連合軍潜水艦』（光人社 2000年）
- - 『連合艦隊海空戦戦闘詳報別巻1』（アテネ書房 1996年）
関連項目
- - 大日本帝国海軍航空隊一覧
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