第二八一海軍航空隊

第二八一海軍航空隊

第二八一海軍航空隊は、太平洋戦争中に存在した日本海軍の航空部隊の一つです。主に北方の防衛を担う主力戦闘機隊として、護衛、迎撃、戦闘といった多岐にわたる任務を遂行しました。

編成と初期の活動

1943年（昭和18年）春、アリューシャン列島方面からのアメリカ軍の反撃を想定し、第十二航空艦隊の一翼を担う戦闘機隊として、館山飛行場で編成されました。当初は、アッツ島からの撤退作戦の支援を主な目的としていましたが、キスカ島撤退後は、本土東方海上の防衛、さらにはマーシャル諸島への進出へと活動範囲を広げていきます。

戦歴

1943年（昭和18年）

3月1日: 舞鶴を原隊とし、館山で開隊。零式艦上戦闘機48機を装備し、横須賀鎮守府部隊に所属。館山飛行場で訓練を開始。
5月18日: 第二十七航空戦隊に編入。アッツ島地上戦開始に伴う措置。
5月23日: 先遣隊15機を幌筵島へ派遣。着陸時に3機が破損。
6月2日: 所司令が率いる本隊も幌筵島に進出。以後、幌筵島を拠点に哨戒活動に従事するものの、敵機の来襲はなく、戦線は縮小。
9月1日: 館山残留隊は南鳥島への空襲に備えて待機。敵機動部隊迎撃隊の護衛を準備。
9月3日: 南鳥島への警戒を解除し、原隊に復帰。
11月24日: タラワ島地上戦の開始を受け、内南洋への進出を命じられる。
11月26日: 本隊の要員と物件を搭載した駆逐艦「霞」が占守島を出発。12月10日にルオット島に到着。
11月27日: 所司令率いる先遣隊21機が館山を出発。12月3日にルオット島に到着。
12月1日: 後発隊17機が館山を出発。12月6日にルオット島に到着。本隊はルオット島に配置され、ミレ島には派遣隊を設置。
12月5日: マーシャル諸島に敵機動部隊の艦載機が襲来。第二五二海軍航空隊と共同で出撃。
12月25日: ギルバート諸島方面へ全航空機で総攻撃。第五三一海軍航空隊の8機を14機で護衛。その後、散発的に艦載機隊と交戦し、消耗。1月29日時点で稼働機は25機に減少（二五二空と合計）。

1944年（昭和19年）

1月30日: クェゼリン環礁攻略のため敵機動部隊が襲来。ルオット島に3波にわたり延べ120機が襲来し、全力で迎撃するも全機を喪失。昼からは、ルオット島に隣接するナムル島の居住区への艦砲射撃が開始され、隊員に甚大な被害が発生。
1月31日: ルオット島とナムル島に敵軍が上陸。同日中にルオット島飛行場が陥落。
2月3日: 総員玉砕。
2月20日: 解隊。

ルオット島への進出からわずか2ヶ月で、第二八一海軍航空隊は壊滅しました。行動を共にしていた第二五二海軍航空隊は内地で再編成されましたが、第二八一海軍航空隊が再建されることはありませんでした。艦砲射撃によりナムル島に待機していた隊員の多くは既に死傷しており、地上戦は実質的に初日で決着したと言われています。

主力機種

零式艦上戦闘機

歴代司令

所茂八郎 中佐：1943年3月1日 - 1944年2月3日 戦死

関連項目

大日本帝国海軍航空隊一覧
ギルバート・マーシャル諸島の戦い

参考文献

『日本海軍編制事典』（芙蓉書房出版　2003年）
『航空隊戦史』（新人物往来社　2001年）
『日本海軍航空史2』（時事通信社　1969年）
『戦史叢書　海軍航空概史』（朝雲新聞社　1976年）
『戦史叢書　北東方面海軍作戦』（朝雲新聞社　1969年）
『戦史叢書　本土方面海軍作戦』（朝雲新聞社　1975年）
『戦史叢書　中部太平洋方面海軍作戦2』（朝雲新聞社　1973年）
『連合艦隊海空戦戦闘詳報別巻1』（アテネ書房　1996年）

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