第二次木津川口の戦い

第二次木津川口の戦い

第二次木津川口の戦いは、天正6年（1578年）11月6日に毛利水軍と九鬼水軍の間で発生した海戦です。この戦闘は、織田信長と本願寺顕如との間で争われた石山合戦の一環として位置づけられ、全体的な戦局にも影響を与えた重要な出来事とされています。

戦闘までの背景

天正4年に発生した第一次木津川口の戦いでの大敗を受け、織田信長は九鬼嘉隆の提案を採用し、新たに鉄の装甲を施した大型の安宅船の建造を指示しました。天正6年の6月頃、九鬼水軍は伊勢湾で数艘の大安宅船を建造し、同時に滝川一益も一艘の大型船を整備しました。6月中旬になると、信長は九鬼水軍が兵糧不足に陥らないよう堺の年貢を配分するよう命じました。

7月には九鬼水軍が熊野浦に進出し、雑賀衆との交戦が行われました。その後、九鬼水軍は堺港に寄港し、見物人を集めた後、そのまま大坂へ向かい、本願寺の海上補給路を遮断します。戦力を整えた九鬼水軍は、海上での封鎖を開始し、10月には前哨戦を経て、戦闘の準備を整えていきました。

戦闘の詳細

天正6年11月6日、毛利・村上水軍約600隻が木津川口を攻撃しました。これに対し、九鬼嘉隆率いる大安宅船6隻の九鬼水軍が応戦し、戦闘は午前8時から正午にかけて展開されました。初めは毛利・村上水軍が優勢に見えましたが、九鬼嘉隆は巧みに敵船を引き寄せ、強力な火力で反撃に出ました。

その結果、毛利・村上水軍は接近を許されず、最終的に敗走を余儀なくされることとなりました。信長公記では、九鬼水軍の勝利が伝えられ、「見物の者共九鬼右馬允手柄成と感せぬㇵなかりけり」と記されています。

一方、毛利側の記録には、彼らが木津浦に着岸し、持久戦の準備を整えていたことが示されています。このため、九鬼水軍の勝利とはいえ、戦局は一進一退の様相を呈していました。さらに、九鬼水軍は兵糧不足に陥り、堺港から必要な物資を取り入れざるを得ない状況にありました。

戦闘の結果と影響

戦闘後、勝利とされても、実際には本願寺への補給が途絶えた直接的な原因とは考えられていません。翌年には反信長勢力が駆逐され、毛利領から大阪湾への道が制圧されるなど、様々な要因が重なり水軍の輸送が困難になりました。これに伴い九鬼水軍も厳しい状況に置かれ、次第に孤立していく運命へとつながりました。

最終的に、本願寺顕如は戦役終了から17ヶ月後に和解の意を固め、石山御坊を退去します。しかしその後も新門跡となった本願寺の教如は抵抗を続けたものの、荒木村重の城が落ちるなど、周囲の状況に追い詰められることになります。

第二次木津川口の戦いは、戦国時代の混乱の中での海戦の重要性を再認識させる出来事であり、今なお多くの資料が語り継がれています。

もう一度検索