第六三一海軍航空隊

第六三一海軍航空隊の概要

第六三一海軍航空隊（だい631かいぐんこうくうたい）は、日本海軍の一部隊であり、太平洋戦争の終盤において設立されました。この部隊は、パナマ運河を攻撃することを目指して編成されましたが、残念ながら戦争の終結によってその計画が実現することはありませんでした。

沿革

部隊の設立は、マリアナ諸島が陥落した後に起こりました。パナマ運河の破壊に向けた構想は長い間続いており、その実行に移すために、伊四百型潜水艦と特殊攻撃機の晴嵐を併用する形で編成が始まりました。三機の水上機を搭載できる伊四百型潜水艦が母艦として機能し、晴嵐による奇襲を試みる予定でしたが、母艦や艦載機の生産が遅れたため、その計画はなかなか具体化しませんでした。また、部隊の指揮系統を一体化するため、一部の指導者たちは兼職の形を取りました。

1944年12月15日、部隊は鹿島水上機基地で正式に開隊し、第六艦隊に属しました。鹿島では、瑞雲を用いて本隊の練成が行われました。その翌日、初の母艦である伊号第十三潜水艦が竣工し、12月30日には第一潜水隊の結成が発表されました。

1945年には、1月20日に六三一空が呉水上機基地に移転し、晴嵐による本格的な練成がスタートしました。その後、3月5日に屋代島へ移転し、潜水隊との共同訓練が始まりました。4月2日には、米軍による機雷投下の影響で福山海軍航空隊に移転します。大戦の流れが変わる中、部隊は何度かの転機を迎えることになります。

6月に入ると、「パナマ奇襲攻撃案」は放棄され、「嵐作戦」、すなわちウルシー環礁に対する奇襲計画が始動しました。6月20日には、「光作戦」が発動され、伊十三や伊十四の潜水艦が晴嵐を揚陸するために舞鶴へ向かいました。続いて、物資をシンガポールに配送するため、地上要員が派遣されました。特に、伊号第三五一潜水艦はこの任務のために出発しました。

7月中旬には、参加の船が離脱し、伊十三と伊十四の出撃の後、両艦はそれぞれ異なる運命を遂げます。7月下旬には「嵐作戦」を発動し、晴嵐と共に出撃しましたが、8月8日には福山水上機基地が空襲を受け、8月16日に第六艦隊から帰還命令が出されます。この命令の中で、計画されていた環礁の爆撃は実施されず、結局、帰還中に晴嵐の全機が海に沈みました。

8月29日には、伊四百型潜水艦がアメリカの軍に捕虜となり、指揮官の有泉は自決に至りました。 8月31日には、部隊全艦が横須賀に帰港し、戦争が終わると同時に六三一空は解散を迎えました。

主力機種

この部隊の主力機には、嵐作戦の主要機である晴嵐、作戦前の偵察に用いる彩雲、晴嵐の調達までの訓練機である瑞雲が含まれます。

歴代司令

有泉龍之助大佐が初代司令官に任命され、昭和19年12月15日から8月29日までその職に就いていましたが、8月31日まで続いたとの記録もあります。

結論

第六三一海軍航空隊は、一度も作戦を実行せずに解散しましたが、壮大な計画に関与したことは歴史に残ります。その準備の一環として、福山という本隊だけでなく、トラックやシンガポールにも多くの要員が派遣されており、その帰還には多くの時間を要しました。その背景には、戦争の終息を迎えた日本の厳しい状況が影響しています。

もう一度検索