第百五号哨戒艇

第百五号哨戒艇

第百五号哨戒艇は、大日本帝国海軍の艦艇の一つで、アメリカまたはフィリピンの巡視船「アラヤット」を前身に持つ哨戒艇です。1941年に沈没後、1942年に浮揚され、修理を経て哨戒任務に就きました。その艦歴や前身に関する情報は興味深く、艦艇史研究者間でも議論があります。

艦歴

第百五号哨戒艇の歴史は1941年12月27日に始まります。この日、キャビテ沖のマニラ湾で日本軍の空襲により「アラヤット」は沈没しました。約8か月後の1942年8月26日、マニラの第百三海軍工作部が引き揚げ作業を開始し、その後修理が施されます。

1943年9月1日には「第百五号哨戒艇」と命名され、哨戒艇としての本籍を佐世保鎮守府に定められました。また、第三南遣艦隊に属し、整備を経て、同年10月以降にはマニラ湾やセブ、サンボアンガ、ハルマヘラ島方面において哨戒任務を遂行しました。

1944年11月27日には第6次多号輸送船団を護衛し、マニラから出港。その翌日、オルモック湾で輸送作戦中にアメリカの魚雷艇PT127の攻撃に遭い、沈没しました。沈没したのは1944年11月28日であり、その後1945年1月10日には帝国哨戒艇籍から除かれました。

艦長

この艇の艦長には二人が任命されています。初代艦長は平石廉大尉/少佐で、1943年9月1日から1944年7月1日までの間、艦を指揮しました。次代の艦長となった香坂峯三大尉は1944年7月1日から1944年12月30日までその役割を担いました。

前身「アラヤット」について

第百五号哨戒艇の前身である「アラヤット」についての情報は、文献によって異なるため、多くの謎が残っています。日本の資料では、アラヤットがどのようにして日本に鹵獲されたのかが不明瞭です。ある説では、米西戦争の際に自沈し、後に引き揚げられてアメリカ海軍で使用された1898年建造のスペインの砲艦だとも言われています。

田村俊夫氏の研究によると、アラヤットには異なる情報が存在し、排水量や建造年についても諸説あります。『戦利船利用』においてはフィリピンの巡視船であったとされ、排水量は1200トンと記録されています。一方、他の記録によれば、アラヤットは1931年にドイツの造船所で建造され、アメリカ陸軍省に購入されたとされています。

具体的には、海外のサイト『CombinedFleet.com』によれば、「アラヤット」は自由都市ダンツィヒで建造され、アメリカに譲渡されフィリピンの巡視船として運用されていたとのこと。

結論

第百五号哨戒艇は、その艦歴と前身「アラヤット」に関するさまざまな情報から、日本の海軍の歴史における重要な位置を占めています。沈没から修理を経て活躍した経緯や、前身についての不確定性は、艦艇史研究において興味深い題材となっています。

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