第1次西園寺内閣

第1次西園寺内閣の概要

第1次西園寺内閣は、立憲政友会の総裁である西園寺公望が内閣総理大臣に就任したことによって成立し、1906年1月7日から1908年7月14日まで続きました。この内閣は、日露戦争後の日本における重要な政権のひとつであり、国家政策に多大な影響を与えました。

内閣の構成

内閣発足時、西園寺公望は国務大臣を任命し、内閣書記官長および法制局長官も同日に就任しました。政権の施行にあたり、特に前内閣の桂内閣の政策を引き継いだため、「委任状内閣」「代理人内閣」とも称されました。内閣のメンバーには情勢を鑑みた慎重な人事が行われ、桂前首相は顧問的役割を果たすことで、政友会と藩閥層との調和を図っていました。これにより、内閣は立憲政友会と藩閥の双方から支持を持つ形で安定した政権運営を行いました。

政治的背景と運営

前内閣の桂内閣は、超然主義体制を基本としていましたが、日露戦争を通じて衆議院第一党である立憲政友会の協力が不可欠であることから政治的な妥協に至りました。桂内閣の退陣に伴い、西園寺総裁が新たな内閣を形成することとなりましたが、内閣内部では藩閥と政友会との間での勢力争いが繰り広げられました。特に原内相は、藩閥勢力の貴族院議員を切り崩す動きを見せ、対する山縣元老は憲政本党と接近を図りました。このため、双方の利害関係が絡み合いながらも、政権の維持が模索されていきました。

1908年1月、憲政本党や大同倶楽部、猶興会による不信任案が提出されると、西園寺内閣は解散の決意を固めましたが、否決されました。続く5月の選挙では政友会が過半数を獲得しましたが、直後に赤旗事件が発生し、社会主義派の台頭が大きな政治的課題となりました。このことにより、西園寺首相は政権運営に疑念を持ち、最終的には7月に内閣が総辞職しました。後には桂前首相が新たに内閣を組織し、政治の流れが続くことになります。

主な政策

1. 財政問題

日露戦争終結後、各省からの予算要求が高まり、財政の調整が課題となりました。1906年度は阪谷蔵相を中心に予算案が成立しましたが、以後も軍事予算の増額要求や不況対策が議論される中で、桂前首相の調停が重要な役割を果たしました。

2. 外交政策

外交においては、1907年に日仏協約や日露協約が結ばれ、四国協商と呼ばれる国際的な連携が強化されました。これにより日本の外交的地位は向上しました。

3. 郡制の廃止

郡制廃止に関しては、原内相が法案を提出し、衆議院で全会一致で通過したものの、貴族院で否決されるなどの激しい攻防が繰り広げられました。

4. 鉄道国有化

鉄道国有化も進められ、多くの意見が交わされつつ法整備が進められましたが、その実施において加藤外相の辞任も影響を及ぼしました。

結論

第1次西園寺内閣は、激動の時代に多くの政策を実施しましたが、内閣の維持は容易ではなく、次第に状況が変化していきました。この期間の政治的展開は後の日本の政局においても重要な意味を持つものでした。

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