陸上自衛隊 第1空挺団
陸上
自衛隊に所属する第1空挺団は、高度な空挺作戦能力を有する精鋭
部隊です。
千葉県船橋市の
習志野駐屯地に拠点を置き、
陸上総隊の隷下
部隊として、国内の防衛はもとより、
災害派遣や国際貢献活動など、多岐にわたる任務を遂行しています。
第1空挺団は、その名の通り、航空機からの落下傘降下による空挺作戦と、
ヘリコプターを使用した
ヘリボーン作戦を主要な戦術としています。これらの作戦能力に加え、精鋭軽
歩兵としての側面も持ち合わせており、国内に侵入した
特殊部隊への即応も重要な任務の一つです。
部隊の
標語である「精鋭無比」と「挺身赴難」は、その高い練度と任務遂行への強い意志を象徴しています。
編成
第1空挺団は、団本部、3個普通科
大隊を基幹とし、
特科大隊、後方支援隊、通信
中隊、施設
中隊、空挺教育隊などで構成されています。空挺作戦に必要な専門的な知識や技術を有する隊員が集結し、日々訓練に励んでいます。また、空挺教育隊では、新たな空挺隊員を育成するための教育が行われています。
訓練
訓練は、習志野
演習場をはじめとする各地の
演習場で行われるほか、
輸送機への搭乗訓練では
海上自衛隊下総航空基地も利用されます。海上への降下訓練は、鋸南町沖合の海域で実施されるなど、実戦を想定した厳しい訓練が繰り返されています。
歴史
帝国陸軍からの継承
第1空挺団のルーツは、太平洋戦争(
大東亜戦争)中に活躍した帝国陸軍の挺進
部隊に遡ります。「
空の神兵」と称された彼らの勇猛果敢な精神は、現在の第1空挺団にも受け継がれています。創設に当たっては、帝国陸軍挺進
部隊の元隊員たちが中心となり、
部隊の基礎が築かれました。
草創期
1952年、陸上
自衛隊の創設時に、精鋭
部隊として空挺
部隊の設立が検討され、
1955年に臨時空挺練習隊が発足しました。その後、
1958年には第1空挺団が正式に編成され、初代
団長には
衣笠駿雄元陸軍
少佐が就任しました。
発展
創設当初は東部
方面隊隷下でしたが、
2007年には
中央即応集団隷下となり、
2018年には
陸上総隊隷下へと移行しました。この間、
部隊は装備や編成の変遷を経て、より高度な即応性と機動性を備えるよう進化を遂げてきました。また、イラク復興支援や
東日本大震災での
災害派遣、
南スーダン平和維持活動など、国内外での活動も積極的に行っています。
空挺隊員
空挺訓練生
空挺隊員になるためには、年齢、体力、知能、性格、作業素質、職業適性など、厳しい条件をクリアする必要があります。体力検定では、懸垂、かがみ跳躍など、5種目の試験で高い水準の成績が求められます。また、空挺隊員には、困難な状況でも任務を遂行する強靭な精神力と、冷静かつ大胆な行動力が求められます。
スポーツ
第1空挺団のラグビー部は、関東社会人リーグ1部に所属しており、過去には様々な大会で好成績を収めてきました。また、
富士登山駅伝では、他の
自衛隊部隊と優勝を争うなど、体力と精神力を鍛えるため、スポーツ活動も活発に行われています。
モットーと精神
第1空挺団は、「
風林火山」をモットーとしており、各競技会にそれぞれを当てはめています。
- - 「風」:疾きこと風の如く(持続走競技会)
- - 「林」:徐かなること林の如し(射撃競技会)
- - 「火」:侵掠すること火の如く(ラグビー競技会)
- - 「山」:動かざること山の如し(武道競技会)
また、降下時の心構えとして「確実、機敏、細心、大胆、協同、前動続行」を掲げ、任務遂行のため、いかなる犠牲を払っても命令どおりに指示を続行する不屈の精神を重視しています。空挺精神である「精鋭無比」は、空挺隊員の強靭な意志と創意工夫、そして困難を恐れない気概を表しています。
所在地
第1空挺団の
駐屯地は、
千葉県船橋市薬円台に所在します。
駐屯地名は「習志野」ですが、その住所は
船橋市であり、
習志野市ではありません。これは、
駐屯地周辺がかつて「習志野原」と呼ばれていたことに由来します。
警備隊区
第1空挺団は、
千葉県全域の
災害派遣を担当するほか、北部を中心に16市8町の
災害派遣・広報などを担当しています。地域社会との連携も重視しており、災害発生時には迅速な対応が求められます。
登場作品
第1空挺団は、映画、ドラマ、小説、アニメなど、様々なフィクション作品にも登場しています。その精強なイメージは、多くのクリエイターの創作意欲を刺激し、作品を通じて広く一般に知られています。
映画
ドラマ
小説
アニメ・漫画
まとめ
第1空挺団は、高度な空挺作戦能力と精鋭
部隊としての誇りを持ち、日本の安全保障に大きく貢献しています。その歴史は旧帝国陸軍から受け継がれ、伝統と革新が融合した精強な
部隊として、これからも国内外で活躍が期待されます。