第10師団 (陸上自衛隊)

陸上自衛隊第10師団：中部地方の防衛と災害救援を担う部隊

陸上自衛隊第10師団は、中部方面隊に所属する師団の一つであり、愛知、岐阜、三重、福井、石川、富山6県を警備区域とする地域配備師団です。司令部は愛知県名古屋市の守山駐屯地に置かれ、3個の普通科連隊を基幹として編成されています。

任務と活動

第10師団の主要な任務は、警備区域における防衛警備と災害派遣です。平時は、地域住民との信頼関係を構築するための民生協力活動にも積極的に取り組んでおり、国際貢献活動への参加実績も豊富です。過去には、伊勢湾台風、三八豪雪、阪神・淡路大震災、東日本大震災など、数々の災害派遣に臨み、被災地における救援活動に大きく貢献してきました。また、カンボジア、ホンジュラス、インドネシア、東ティモール、イラクなど、海外での平和維持活動や災害救援活動にも参加しています。

歴史

第10師団の前身は、1958年に大久保駐屯地で編成された第10混成団です。その後、1959年に守山駐屯地に移駐し、1962年に第10師団として改編されました。師団創設以来、数々の組織改編や近代化改編を経て、現在の体制に至っています。

特に、2004年の戦略機動師団への改編では、定員が7,000人から8,700人に増強され、部隊の機動性と即応性が大幅に向上しました。また、2014年の即応近代化改編、2017年の部隊改編、そして最新の2024年の地域配備師団への改編では、装備や組織構造の見直しが行われ、より効率的かつ効果的な防衛体制の構築を目指しています。これらの改編を通して、偵察隊と戦車大隊は統合され、第10偵察戦闘大隊が新編されるなど、現代の戦闘環境に適応した組織編成へと変化を遂げています。

組織構成

第10師団は、師団司令部、3個の普通科連隊（第14、第33、第35普通科連隊）、第10高射特科大隊、第10偵察戦闘大隊、第10後方支援連隊などを擁しています。これらの部隊は、愛知県、三重県、石川県の複数の駐屯地に配置されています。岐阜県、福井県、富山県には第10師団隷下の部隊は配置されておらず、中部方面隊直轄部隊が配置されています。各連隊は、警備隊区を管轄し、地域防衛に重要な役割を担っています。

各連隊の配置と警備区域は、以下のとおりです。

第14普通科連隊: 石川県、富山県、福井県
第33普通科連隊: 三重県全域
第35普通科連隊: 愛知県尾張地方と岐阜県全域

2024年の改編では、第10特科連隊が廃止され、中部方面特科連隊第2特科大隊に改編されました。

駐屯地

第10師団の部隊は、主に以下の駐屯地に配置されています。

守山駐屯地（愛知県）: 師団司令部
豊川駐屯地（愛知県）: 第10偵察戦闘大隊
春日井駐屯地（愛知県）: 第10後方支援連隊の一部
久居駐屯地（三重県）: 第33普通科連隊
明野駐屯地（三重県）
* 金沢駐屯地（石川県）: 第14普通科連隊

廃止された部隊

過去には、第10武器隊、第10補給隊、第10輸送隊、第10衛生隊、第10対戦車隊、第10化学防護隊、第10戦車大隊、第10偵察隊などが存在していましたが、組織改編により廃止または他の部隊に統合されています。

まとめ

陸上自衛隊第10師団は、中部地方の安全保障と災害対策において重要な役割を担う部隊です。今後も、地域住民との連携を強化し、災害への備えを万全にすることで、地域社会への貢献を続けていくことが期待されます。

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