第105回国会

第105回国会の概要

第105回国会は、日本の憲法第53条に基づき、1986年6月2日に臨時に召集されました。この国会は、衆議院解散により会期が1日のみとなる異例な展開を見せました。国会の召集要求は、5月26日に持ち込まれ、自由民主党議員の89名の署名によって提出されました。これは、与党からの国会召集要求であり、約10年ぶりの出来事でした。

背景

第105回国会が召集される背景には、直前の第104回国会で成立した「一票の格差」を是正するための公職選挙法改正がありました。その改正を踏まえ、与党である自由民主党は、第14回参議院議員通常選挙と同時に第38回衆議院議員総選挙を実施することを画策していました。このため、急遽召集要求を行ったという経緯があります。

また、内閣が臨時国会を招集することが常態化する中で、今回は通常のように野党議員からの要求ではなく、与党からの提案であった点も注目されます。内閣総理大臣である中曽根康弘は、5月24日の記者会見で「衆議院解散は念頭にない」と言明しており、その言葉が物議を醸しました。

召集日の動き

1986年6月2日が召集日となり、午前10時に衆議院・参議院ともに本会議が開かれる予定でした。しかし、野党4党（日本社会党、公明党、日本共産党、民社党）は、中曽根首相が臨時国会を召集した理由について説明を求めましたが、自由民主党側はこれを拒否したため、衆議院の会議は開かれる見通しが立ちませんでした。

このため、参議院議院運営委員会は午前9時41分に開会され、野党各党が反対意見を述べたものの自由民主党の賛成多数により本会議の開議が決定されました。しかし、参議院本会議は開会が宣告されたものの、その翌にすぐに休憩に入り、再開されることはありませんでした。その一方、衆議院においては野党の抵抗により、本会議が開けないままでの衆議院解散が実行されるという異例の事態となりました。

衆議院解散の実施

衆議院解散の詔書が坂田道太衆議院議長に伝えられ、各政党の代表者が議長応接室に呼ばれましたが、野党4党の代表は出席しませんでした。その結果、自由民主党と新自由クラブの代表者だけが出席し、解散詔書が朗読されたことで衆議院は正式に解散されました。

このような臨時国会の召集日に衆議院が解散されるのは、1966年の第54回国会以来、2度目のこととなります。この国会の行動と決定は、当時の政治状況や政権の力学を如実に表しており、国政における重要な一ページとなりました。

参考文献

• - 大西祥世「議院の閉会中審査と憲法」『年報政治学』第74巻第1号、日本政治学会、2023年、95-122頁。
• - 藤本一美『増補 「解散」の政治学』第三文明社、2011年。ISBN 4476032028。

関連項目

• - 第137回国会、第194回国会 - 召集日当日解散が行われた事例
• - 第11回国会 - 過去最短の会期を記録した衆院解散
• - 衆参同日選挙（第38回衆議院議員総選挙・第14回参議院議員通常選挙）

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