第106師団 (日本軍)

第106師団

第106師団は、日中戦争の激化に伴い、留守第6師団の担当によって編成された特設師団です。この師団は、初期に編成された三単位師団である第26師団よりも後に編成されましたが、2個連隊から成る歩兵旅団を2つ擁する四単位制を採用していました。

沿革

1938年5月15日に動員が下令され、同月20日には中支那派遣軍の戦闘序列に組み込まれ、華中へ出動しました。現地での応急訓練後、7月4日には新設された第11軍の戦闘序列に編入され、武漢作戦に参加しました。

しかし、作戦地域が山岳地帯であったため、輓馬砲兵の前進が阻まれ、苦戦を強いられました。9月20日には徳安周辺の攻撃で、砲兵火力が不足したまま中国軍に包囲され、壊滅の危機に直面しました。この戦闘では、参謀の成富政一中佐が戦死し、師団首脳部にも死傷者が発生する事態となりました。しかし、第27師団と第101師団の救援と攻勢により、最悪の事態は回避されました。

1939年3月20日の南昌作戦における修水河渡河作戦では、第101師団とともに野戦重砲兵第6旅団など約250門の大砲兵部隊の支援を受け、敵を圧倒しました。南昌作戦後、一旦は本土への帰還が予定されましたが、華南戦線への派遣が決定し、12月29日に第21軍戦闘序列に編入され、汕頭方面での掃討作戦に参加しました。

1940年2月9日、第21軍が廃止されたため、新設の南支那方面軍戦闘序列に編入され、3月9日には復員命令が下り、4月に解散しました。

師団編制

師団全体の兵力は、人員21902名、馬匹5879頭でした。以下に主要な編制を示します。

師団司令部: 人員340名、馬匹165頭、乗用車2両、側車自動車2両
歩兵旅団（2個）: 各旅団人員7103名、馬匹874頭
騎兵大隊: 人員451名、馬匹431頭
野砲兵連隊: 人員1922名、馬匹1508頭、野砲36門
工兵連隊: 人員672名、馬匹99頭
師団通信隊: 人員246名、馬匹45頭（有線3個小隊、無線1個小隊）
輜重兵連隊: 人員1898名、馬匹1451頭
師団衛生隊: 人員1095名、馬匹128頭
師団野戦病院: 人員951名、馬匹304頭（第1～第3：236人75頭、第4：243人79頭）
師団兵器勤務隊: 四輪起動小型乗用車1両、自動貨車8両、武器修理車1組、軽修理自動車1組

歴代師団長

松浦淳六郎 中将：1938年5月16日 - 1939年5月19日
中井良太郎 中将：1939年5月19日 - 1940年3月9日

歴代参謀長

秋山義隆 歩兵大佐：1938年5月15日 - 1938年12月10日
稲村豊二郎 歩兵大佐：1938年12月10日 - 1940年4月17日

所属部隊

歩兵第111旅団
歩兵第113連隊（熊本）
歩兵第147連隊（都城）
歩兵第136旅団
歩兵第123連隊（鹿児島）
歩兵第145連隊（大分）
騎兵第106大隊
野砲兵第106連隊
工兵第106連隊
輜重兵第106連隊
師団通信隊

参考文献

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧

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