第11師団 (陸上自衛隊)

陸上自衛隊第11師団：北海道防衛の歩み

陸上自衛隊第11師団は、かつて北海道の防衛を担っていた精鋭部隊です。1962年1月18日、札幌市の真駒内駐屯地を司令部として編成され、北海道の安全と治安維持に貢献しました。その歴史と変遷を詳細に見ていきましょう。

創設と初期の編成

第11師団は、1962年1月18日、真駒内駐屯地において司令部、そして各部隊（特科連隊、対戦車隊、偵察隊、施設大隊、通信大隊、武器隊、補給隊、輸送隊、衛生隊）が新編されました。同時に、滝川駐屯地には第28普通科連隊、倶知安駐屯地には第29普通科連隊が新編され、既存の第10普通科連隊と第18普通科連隊も隷下に入りました。北恵庭駐屯地に最初に編成された第11戦車大隊は、その後まもなく真駒内駐屯地に移駐しています。

1965年頃における主要部隊は、4個の普通科連隊（第10、第18、第28、第29連隊）、特科連隊、そして戦車大隊でした。

札幌オリンピックへの貢献

1972年、第11師団は冬季札幌オリンピックの支援任務に当たりました。これは、師団の多様な能力と、地域社会への貢献を象徴する出来事と言えるでしょう。

近代化改編と部隊の変遷

1989年には師団の近代化改編が行われ、後方支援体制の強化が図られました。武器隊、補給隊、輸送隊、衛生隊が統合され、第11後方支援連隊が新編されました。また、高射特科大隊が独立し、各普通科連隊は自動車化連隊に改編されました。偵察隊には電子偵察小隊、師団司令部付隊には化学防護小隊がそれぞれ新編されるなど、部隊の能力向上、多様化が進められました。

1990年代に入ると、第11師団は更なる改編を経験します。1991年には第11戦車大隊に戦車中隊が新編され、1992年には第18普通科連隊が装甲車化連隊に改編されました。1994年には北部方面航空隊隷下の第11飛行隊が編入されました。

1996年には、師団の規模縮小を伴う改編が行われ、7000人規模の乙師団となりました。この改編により、第29普通科連隊が廃止され、他の部隊の移駐や改編も行われました。その後も、戦車中隊の廃止や、後方支援連隊の改編などが行われ、部隊の編成は時代に合わせて変化を続けています。

廃止と第11旅団への改編

2008年3月26日、第11師団は旅団化され、第11旅団へと改編されました。長きに渡り北海道の防衛に貢献した第11師団の歴史は、ここで幕を閉じました。

第11師団の駐屯地

第11師団の主要な駐屯地は真駒内駐屯地でしたが、第10普通科連隊が滝川駐屯地、第28普通科連隊が函館駐屯地、第11対戦車隊と第28連隊の一部が倶知安駐屯地、第11飛行隊が丘珠駐屯地に配置されていました。

雪まつりへの協力

第11師団は、長年にわたり札幌雪まつりにも協力していました。真駒内駐屯地が雪まつりの会場の一つとなっていた他、大通会場での雪像製作にも携わっていました。しかし、アメリカ同時多発テロ事件以降のテロ対策強化や人員削減などを背景に、2006年から真駒内会場の提供は中止となりました。それでも、雪輸送や大通公園の雪像製作などの支援は、後身の第11旅団によって引き継がれています。

まとめ

第11師団は、創設以来、北海道の防衛に大きく貢献した部隊です。その歴史は、部隊の編成や改編、地域社会との連携、そして時代の変化への対応という様々な側面を物語っています。第11師団の功績は、北海道の歴史に深く刻まれています。そして、その精神は、後継部隊である第11旅団に引き継がれていると言えるでしょう。

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