第114飛行隊 (イスラエル空軍)

イスラエル空軍 第114飛行隊

イスラエル空軍の第114飛行隊、通称ナイトリーダーズ・スコードロンは、CH-53「ヤスール」大型輸送ヘリコプターを運用している重要な部隊です。この飛行隊の歴史は、第一次中東戦争が終結した1949年3月に遡り、クファル・シルキンの航空訓練基地において編成されました。初期の運用機はアブロ アンソン、エアスピード オックスフォード、エアスピード コンサルの数機が揃えられ、連絡や輸送、飛行訓練を行う部隊としての役割を果たしました。1956年には一度解隊されるものの、1966年にフランスからのSA 321K シュペルフルロンを使用するヘリコプター部隊として再編成されました。

このシュペルフルロンは、特に1967年の第三次中東戦争において、空挺旅団の兵士を搭載しシャルム・エル・シェイクやゴラン高原への奇襲攻撃を実施しました。その後、フランスからの武器輸出が制限されましたが、7機のシュペルフルロンの導入が続けられ、これにより部隊の装備は強化されました。1968年、エジプトとの小規模な衝突が頻発し、これに対処するために第114飛行隊のシュペルフルロンは頻繁に出動しました。

その中でも、特に目を引くのは1968年12月28日の第114飛行隊によるベイルート国際空港への襲撃です。この作戦では、サイェレット・マトカル隊員が任務を遂行し、地上に駐機していたアラブ系航空会社の旅客機を無人の状態で標的とし、破壊しました。この動きは、エル・アル航空253便での襲撃に対する報復とされており、国際的な緊張を引き起こす一因となりました。

1969年、アメリカのシコルスキー製ヘリコプターCH-53の導入が始まり、それに伴い第118飛行隊も編成されますが、第114飛行隊は引き続きシュペルフルロンを運用しました。1973年の第四次中東戦争では、主に負傷者の搬送にシュペルフルロンが使用されることになります。以後、アメリカからの緊急軍事援助によりCH-53Aが追加配備され、部隊の運用機の幅が広がりました。また、続いて改修プロジェクトが進められ、1974年から75年にかけてシュペルフルロンのエンジンが換装されました。

1977年には悲劇が起こり、訓練中の事故で第114飛行隊のCH-53が墜落し、乗員全員が死亡するという痛ましい出来事がありました。これを契機に、イスラエル空軍は搭乗人数の制限を設けることとなります。その後、1982年のガリラヤの平和作戦では、シュペルフルロンとCH-53が共に空挺輸送、救出、負傷者搬送に投入されました。

第114飛行隊のシュペルフルロンは1991年に退役しましたが、90年代以降はCH-53の近代化改修プログラム「Yasur 2000」が進められ、1993年から新型機の引渡しが行われました。更には、2007年から新たな寿命延長プログラム「Yasur 2025」が実施され、イスラエル空軍におけるヘリコプター運用の柔軟性と創造性を示す一端となっています。今後の国際情勢と技術の進展に応じて、部隊の装備と運用は進化し続けるでしょう。

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