第143回国会

第143回国会の概要

第143回国会は、1998年7月から10月にわたって開催された臨時の国会です。この国会は「金融国会」とも称され、主に金融業界の早期健全化に向けた法律、すなわち「金融早期健全化法」および「金融再生法」が議論された結果、成立しました。以下は、この国会における重要な経緯と法案の詳細です。

バブル崩壊と金融危機

1990年代に日本で発生したバブル経済の崩壊に伴い、金融不安が広がりました。政府はこの問題に対処するため、公的資金の投入を決定し、1998年3月には、金融機能安定化措置法に基づき、大手銀行や一部地方銀行に対して合計1兆8千億円もの公的資金が注入されました。しかし、これに続いて日本長期信用銀行（長銀）の経営危機が顕在化しました。

6月に行われた参議院議員通常選挙では、橋本首相が度重なる発言の変化により国民の不信を招き、自民党は惨敗を喫しました。この選挙を契機に、橋本首相は退陣を余儀なくされました。

小渕内閣の発足と金融国会

1998年7月30日、小渕恵三内閣が発足し、長銀との関係が深い宮澤喜一が大臣に就任しました。新内閣の発足に際し、長銀の経営問題は喫緊の課題として認識され、金融対策の立法が強く求められました。長銀と住友信託銀行の合併計画が失敗に終わったことから、臨時国会では不良債権の処理を目的とした金融再生プランに関する法案の審議が始まりました。

法案の審議と政治情勢

長銀と住信の合併破談後、長銀の救済を巡る議論は与野党間で泥沼化しました。特に民主党、新党平和、自由党は政府案に反対し、国会における審議は進展しませんでした。このため、自民党は民意を反映させるために民主党の案を受け入れざるを得ない状況に陥りました。金融再生法案は民主党案の受け入れを余儀なくされ、金融早期健全化法案は自由党との協力により成立に至りました。

法案成立の後とその影響

正式に金融再生法が1998年10月12日、早期健全化法が10月16日に可決・成立しました。そして、10月23日には長銀の破綻申請が認定され、政府による一時的な国有化が実施されました。後の12月には、日本債券信用銀行も金融庁の検査で債務超過が確認され、同様の措置が取られることとなりました。

1999年3月には、早期健全化法に基づいて7兆4600億円が大手行に対して公的資金として投じられました。

まとめ

第143回国会は、金融問題を中心に多くの重要な課題を扱い、国の経済に大きな影響を及ぼした国会として歴史に刻まれました。特に、民主党と自由党を含む野党の協力によって、政府は大きな圧力を受けることとなり、その後の自自連立政権の形成へとつながる過程がありました。また、この国会における法案の成立は、その後の金融政策にも重要な影響を及ぼしました。

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