第2飛行師団 (日本軍)

第2飛行師団：満州からフィリピンへ、激戦の空を駆け抜けた航空部隊

第2飛行師団は、日本陸軍の航空師団の一つで、関東軍飛行隊を起源とする部隊です。その歴史は、満州事変後の航空兵力増強を背景に、1931年（昭和6年）に平壌で関東軍飛行隊として編成されたことから始まります。その後、新京を本拠地として関東軍飛行集団、第2飛行集団と改称を重ね、1942年（昭和17年）に第2飛行師団となりました。

満州での防空任務

第2飛行師団は、発足当初から満州における防空を主な任務としていました。この時期、ソ連との国境を抱える満州は、日本の重要な防衛拠点であり、航空戦力は、その防衛において重要な役割を担っていました。

太平洋戦争への参戦と転戦

太平洋戦争が激化すると、第2飛行師団の状況も大きく変わります。1944年（昭和19年）5月、フィリピンの戦いに投入されることになり、第4航空軍隷下となりました。第4飛行師団から所属航空機の移管を受け、レイテ島の戦いに参戦。アメリカ軍の艦船や飛行場への攻撃、船団護衛といった任務に加え、特攻機による攻撃も行いました。しかし、戦況は厳しく、戦力は徐々に消耗していきました。

戦力枯渇と解散

1945年（昭和20年）に入ると、第2飛行師団は第3航空軍の指揮下に入り、同年2月には第4航空軍の廃止に伴い、第7飛行師団と共に第3航空軍の隷下となりました。同年3月下旬、司令部と残存飛行部隊はミンダナオ島へ移動。4月下旬には司令部がシンガポールへ移り、5月17日に解散しました。フィリピンでの戦いを経て、第2飛行師団は、その歴史に幕を閉じたのです。

師団概要

司令部通称号: 鷲9109

歴代師団長

関東軍飛行隊長
長嶺亀助 大佐：1931年11月12日 -
大江亮一 中将：1932年6月6日 -
牧野正迪 少将：1932年10月3日 -
佐野光信 少将：1933年12月20日 -
小笠原数夫 少将：1935年8月1日 - 12月2日
関東軍飛行集団長
小笠原数夫 少将：1935年12月2日 -
安藤三郎 少将：1937年3月1日 - 8月2日
第2飛行集団長
安藤三郎 少将：1937年8月2日 -
儀峨徹二 中将：1938年11月28日 -
寺本熊市 中将：1940年8月1日 - 1942年4月15日
第2飛行師団長
寺本熊市 中将：1942年4月15日 -
河辺虎四郎 中将：1943年5月1日 -
下山琢磨 中将：1943年5月19日 -
山瀬昌雄 中将：1943年9月11日 -
木下勇 中将：1944年10月21日 -
寺田済一 中将：1944年11月27日 - 1945年5月23日

歴代参謀長

第2飛行集団参謀長
宝蔵寺久雄 航空兵大佐：1937年11月1日 - 1938年6月30日
楠木延一 航空兵大佐：1938年6月30日 - 1940年3月9日
吉田喜八郎 航空兵大佐：1940年3月9日 - 1941年11月25日
川上清志 大佐：1941年12月5日 - 1942年4月15日
第2飛行師団参謀長
川上清志 大佐：1942年4月15日 - 1943年1月19日
川辺忠三郎 大佐：1943年1月19日 - 1943年12月11日
内田厚生 中佐：1943年12月11日 - 1944年10月14日
大賀時雄 大佐：1944年10月14日 - 1945年3月5日
（代理）小幡一喜 中佐：1945年3月5日 - 1945年5月24日

司令部構成（1944年5月現在）

参謀長: 内田厚生大佐
参謀（作戦）: 野々垣四郎中佐
参謀（後方）: 鈴木清少佐
参謀（情報）: 伊藤禎三少佐
高級副官: 上村三太夫中佐
兵器部長: 原弘大佐
経理部長: 小宮卓主計中佐
軍医部長: 林真学軍医大佐

所属部隊（1944年5月現在）

戦闘部隊
第6飛行団司令部：小野門之助大佐
飛行第32戦隊（軽爆）：岡村正義少佐
飛行第66戦隊（軽爆）：佐藤辰男少佐
飛行第70戦隊（戦闘）：長縄勝己少佐
第13飛行団司令部：江山六夫中佐
飛行第65戦隊（襲撃）：石原政雄中佐
第28独立飛行隊（司偵）（温春）：国枝治平中佐
飛行場部隊
第6航空地区司令部
第13航空地区司令部：細野光武中佐
第26飛行場大隊
第37飛行場大隊
第86飛行場大隊

まとめ

第2飛行師団は、満州での防空から太平洋戦争の激戦地へと転戦し、常に最前線で戦い続けた部隊でした。その歴史は、日本陸軍航空隊の変遷を物語る重要な一部分であり、数々の戦いを経験した将兵たちの勇戦は、今も語り継がれています。

参考資料

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『別冊歴史読本 戦記シリーズNo.32 太平洋戦争師団戦史』、新人物往来社、1996年。
木俣滋郎『陸軍航空隊全史』航空戦史シリーズ90、朝日ソノラマ、1987年。
防衛研修所戦史室『陸軍航空の軍備と運用（3）大東亜戦争終戦まで』　朝雲新聞社〈戦史叢書〉、1976年。

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