第21師団 (日本軍)

第21師団：歴史と組織

第21師団は、1938年（昭和13年）4月4日に、支那事変（日中戦争）の拡大に対応するため、第15師団、第17師団、第22師団、第23師団とともに編成された、大日本帝国陸軍の歩兵師団です。この師団は、3個歩兵連隊を基幹とする編成でした。

編成と初期の活動

1938年7月15日に編成が完了した第21師団は、北支那方面軍の指揮下に入り、占領地であった徐州の警備を担当しました。その後、1939年（昭和14年）2月には蘇北作戦に、1941年（昭和16年）5月には中原会戦に参加し、中国大陸での作戦活動に従事しました。

南方への転用と太平洋戦争

1941年11月、第21師団は北部仏印（現在のベトナム北部）に転用され、南方軍に編入されました。隷下部隊から抽出された永野支隊は、第二次バターン半島攻略戦に参加するなど、南方戦線での戦闘にも投入されました。1943年（昭和18年）12月からは、印度支那駐屯軍の指揮下に入り、北部仏印の警備任務を担いました。

明号作戦と終戦

1945年（昭和20年）3月には、フランス領インドシナにおける日本の支配を確立するための明号作戦に参加しました。同年8月、ハノイで終戦を迎え、第21師団はその歴史を閉じました。

師団の構成

第21師団は、以下の主要な部隊で構成されていました。

第21歩兵団:
第21歩兵団司令部
歩兵第62連隊（富山）
歩兵第82連隊（富山）
歩兵第83連隊（金沢）
山砲兵第51連隊
工兵第21連隊
輜重兵第21連隊
第21師団捜索隊
第21師団衛生隊
第21師団通信隊
第21師団防疫給水部
第21師団兵器勤務隊
第21師団第1野戦病院
第21師団第2野戦病院
第21師団病馬廠

歴代師団長

鷲津鈆平 中将：1938年（昭和13年）7月15日 - 1940年（昭和15年）9月28日
田中久一 中将：1940年（昭和15年）9月28日 - 1943年（昭和18年）3月1日
三国直福 中将：1943年（昭和18年）3月1日 - 終戦

歴代参謀長

千葉熊治 工兵大佐：1938年（昭和13年）7月15日 - 1940年（昭和15年）3月9日
村田定雄 歩兵大佐：1940年（昭和15年）3月9日 - 1941年（昭和16年）10月15日
小川泰三郎 大佐：1941年（昭和16年）10月15日 - 1945年（昭和20年）1月12日
宍戸清次郎 中佐：1945年（昭和20年）1月12日 - 終戦

その他の主要な将校

高級副官
中島忠雄 中佐：1939年（昭和14年）8月1日 -
三根敏雄 中佐：1942年（昭和17年）8月1日 -
兵器部長
片山文雄 大佐：1940年（昭和15年）12月2日 -
山本政豊 中佐：1943年（昭和18年）10月29日 -
経理部長
向井金次 主計大佐：1938年（昭和13年）7月15日 - 1940年（昭和15年）6月5日
浅野基徳 主計大佐：1940年（昭和15年）6月5日 - 1942年（昭和17年）2月17日
三浦信一 主計中佐：1942年（昭和17年）2月17日 -
大村敏風 主計大佐：1943年（昭和18年）8月2日 -
軍医部長
井原愛雄 軍医中佐：1940年（昭和15年）10月1日 -
後藤清 軍医大佐：1943年（昭和18年）6月10日 -
獣医部長
元岡利美 獣医中佐：1942年（昭和17年）1月29日 -

上級部隊の変遷

第21師団は、その活動を通じて、以下のように上級部隊の所属が変化しました。

1941年（昭和16年）11月6日：南方軍直轄部隊となる
1942年（昭和17年）12月：印度支那派遣軍隷下に移る
1944年（昭和19年）12月：第38軍隷下に移る

1943年（昭和18年）11月24日には、第21歩兵団が復員しました。

参考文献

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

* 大日本帝国陸軍師団一覧

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