第22回ゴールデングローブ賞

第22回ゴールデングローブ賞



第22回ゴールデングローブ賞は、1964年に公開・放送された優れた映画およびテレビ作品を対象に選考が行われ、その授賞式は1965年2月8日に執り行われました。この授賞式では、主要な映画部門およびテレビ部門において、作品、俳優、監督、作曲家などに栄誉が与えられました。

映画部門



映画部門では、まず最も注目される作品賞が、ドラマ部門とミュージカル・コメディ部門に分けて授与されました。

作品賞(ドラマ部門): ケネディ大統領暗殺の影響が色濃く残る時期に公開された『ベケット』が受賞しました。この作品は中世イングランドを舞台にした歴史ドラマでありながら、普遍的な人間ドラマとして高い評価を受けました。候補には他に、テネシー・ウィリアムズ原作の『イグアナの夜』、ニコス・カザンザキスの小説を映画化した『その男ゾルバ』などがノミネートされていました。
作品賞(ミュージカル・コメディ部門): ブロードウェイミュージカルを映画化した大ヒット作『マイ・フェア・レディ』が栄冠に輝きました。この部門には、ウォルト・ディズニー製作のミュージカル映画『メリー・ポピンズ』や、実在の人物を描いた『マリアンの友だち』などがノミネートされ、多様な作品が並びました。

俳優部門では、各ジャンルで卓越した演技を見せた俳優たちが選ばれました。

主演男優賞 (ドラマ部門): 作品賞も受賞した『ベケット』から、主人公のトマス・ベケットを演じたピーター・オトゥールが受賞しました。同作品でヘンリー二世を演じたリチャード・バートンも同じ部門でノミネートされており、強力な共演者同士が競い合う形となりました。他に、『その男ゾルバ』で鮮烈な印象を残したアンソニー・クインなどが候補に挙がっていました。
主演女優賞 (ドラマ部門): 『女が愛情に渇くとき』に出演したアン・バンクロフトが受賞しました。この部門には、『イグアナの夜』のエヴァ・ガードナーや、『サーカスの世界』のリタ・ヘイワースといった当時の人気女優がノミネートされました。
主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門): 『マイ・フェア・レディ』で主人公ヒギンズ教授を演じたレックス・ハリソンが受賞しました。アカデミー賞でも主演男優賞を受賞しており、この年の代表的な演技の一つとされています。『メリー・ポピンズ』のディック・ヴァン・ダイク、『ピンクの豹』のピーター・セラーズなど個性派俳優がノミネートされました。
主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門): 『メリー・ポピンズ』でタイトルロールを演じたジュリー・アンドリュースが受賞しました。興味深いのは、『マイ・フェア・レディ』で同じく主演を務めたオードリー・ヘプバーンもノミネートされていた点です。両作品とも歴史に残るミュージカル映画ですが、賞はアンドリュースに軍配が上がりました。

助演部門では、作品の脇を固めたベテラン俳優たちが受賞しています。

助演男優賞: 『五月の七日間』のエドモンド・オブライエンが受賞しました。
助演女優賞: 『ふるえて眠れ』のアグネス・ムーアヘッドが受賞しました。『イグアナの夜』からは、グレイソン・ホールとリラ・ケドロヴァ(『その男ゾルバ』)が助演女優賞にノミネートされています。

技術部門では、映画の質を高める重要な要素が評価されました。

監督賞: 作品賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞した『マイ・フェア・レディ』を監督したジョージ・キューカーが受賞しました。ドラマ作品賞の『ベケット』を手がけたピーター・グレンヴィルや、『その男ゾルバ』のマイケル・カコヤニスなど、名匠たちが候補に名を連ねていました。
作曲賞: 『ローマ帝国の滅亡』の音楽を担当したディミトリ・ティオムキンが受賞しました。『ベケット』のローレンス・ローゼンタールや、『メリー・ポピンズ』のシャーマン兄弟の楽曲もノミネートされ、優れた映画音楽が評価されました。
* 主題歌賞: 『サーカスの世界』の主題歌が受賞しました。この部門では、人気のスパイ映画『007/危機一発|007_危機一発』の主題歌「From Russia with Love」もノミネートされていました。

テレビ部門



テレビ部門では、ドラマ作品賞、『ザ・ローグス/泥棒貴族』が受賞しました。男優賞は『バークにまかせろ』のジーン・バリーに、女優賞は『ザ・ディック・ヴァン・ダイク・ショー』のメアリー・タイラー・ムーアにそれぞれ贈られました。『逃亡者』のデビッド・ジャンセンや、『奥さまは魔女』のエリザベス・モンゴメリーなど、当時のテレビ界を代表するスターたちもノミネートされていました。

第22回ゴールデングローブ賞は、1964年という年に生み出された、多様で質の高い映画とテレビの作品群に光を当てた授賞式でした。特に映画部門では、『ベケット』と『マイ・フェア・レディ』がその年の顔となり、俳優、監督、作曲家といった多くの才能が評価されました。

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