第22軍団プリミゲニア

第22軍団プリミゲニア (Legio XXII Primigenia) は、ローマ帝国の歴史において重要な役割を果たした軍団の一つです。39年にカリグラ帝によって創設され、その紋章にはカプリコン（山羊座）と英雄ヘラクレスが用いられました。

創設と初期

カリグラ帝の命により創設された後、第22軍団は高地ゲルマニアの主要拠点であったモグンティアクム（現在のドイツ・マインツ）に駐屯しました。この地はローマ帝国の北方国境に近く、軍団は周辺地域の防衛と治安維持を担いました。

内乱とその後

69年の内乱（四皇帝の年）において、第22軍団はウィテリウス帝を支持しましたが、最終的にウェスパシアヌス帝が勝利しました。敗北したにもかかわらず、第22軍団はウェスパシアヌス帝によって存続を許され、引き続きモグンティアクムに駐留しました。このことは、軍団の戦闘能力と地域における影響力の高さを示唆しています。

ローマ皇帝との関わり

後のローマ皇帝となるハドリアヌス帝は、若い頃に第22軍団でトリブヌス・ミリトゥム（高級士官）を務めました。また、軍団は高地ゲルマニアへの駐留を続けながらも、アントニヌスの長城建設のために一時的にブリタンニア（現在のイギリス）へ派遣されるなど、帝国の各地で活動しました。

軍人皇帝時代

3世紀に入ると、ローマ帝国は政治的混乱と軍事的脅威に直面し、いわゆる「軍人皇帝時代」を迎えます。アレクサンデル・セウェルス帝の治世下、第22軍団はアラマンニ族との和平交渉を進めようとする皇帝と対立し、皇帝を殺害してマクシミヌス・トラクスを新たな皇帝として擁立しました。この事件は、軍団が帝国の政治に深く関与し、皇帝の運命すら左右する力を持っていたことを示しています。

その後

268年には、「プリミゲニア」という部隊がガリエヌス帝のもとでゴート族と戦ったという記録があり、これが第22軍団を指している可能性があります。同年、ガリエヌス帝は暗殺され、第22軍団の軍団長であったラエリアヌスがガリア帝国の皇帝としてポストゥムス帝と対立しました。ラエリアヌスの反乱は短期間で鎮圧されましたが、この事件もまた、第22軍団が当時の政治情勢に深く関与していたことを物語っています。

第22軍団プリミゲニアは、創設から3世紀にわたってローマ帝国の歴史に関わり、その興亡を目撃しました。軍団の活動は、ローマ帝国の軍事、政治、社会における軍団の役割を理解する上で重要な事例と言えるでしょう。

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