第33回世界遺産委員会

第33回世界遺産委員会の概要

第33回世界遺産委員会は、2009年6月22日から6月30日の期間にわたり、スペインのセビリアで開催されました。セビリアは、1987年に登録された「セビリアの大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館」という重要な世界遺産が存在する都市です。この委員会の会場は、セビリアの中心に位置する会議・展示センターで行われました。

この世界遺産委員会では、合計13件の財産が新たに登録され、文化遺産11件と自然遺産2件が世界遺産リストに加わることとなりました。さらに、ドイツのドレスデン・エルベ渓谷がリストから抹消されたため、世界遺産の総数は890件に減少しました。

委員国と地域区分

本委員会には、UNESCOの地域区分に基づき、各国の委員が参加しました。参加国は多岐にわたり、世界遺産の保存と推進に関する重要な議論が行われました。

審議対象の推薦物件

新たに登録された世界遺産は、文化遺産が11件、自然遺産が2件であり、その中でキルギス、カーボベルデ、ブルキナファソの3か国が新たに世界遺産保有国となりました。これにより、世界遺産を保有する国の総数は148か国に達しました。審議対象の推薦物件には、既存の世界遺産の拡大登録申請も含まれています。物件名に*印が付けられたものは、すでに登録された遺産の拡張申請となり、太字の物件は正式に登録が承認されたことを示しています。

自然遺産と文化遺産の登録

自然遺産として登録された2件、文化遺産としての11件がどのようなものであるか、それぞれの遺産の特異性や重要性についてもさまざまな議論が交わされました。特に新しく登録された文化遺産は、地域の歴史や文化を象徴するものばかりであり、国際的な文化の多様性を尊重する意味でも意義深い登録でした。

ドレッセン・エルベ渓谷の抹消

一方で、ドレッセン・エルベ渓谷は登録から抹消されることとなりました。これは、特に景観の保全が求められる文化的景観に対する脅威が、長期的に影響を及ぼす可能性があるとして、委員会によって慎重に判断された結果です。地元の住民投票や建設計画が進行中であったことも、抹消決定に影響を及ぼしました。この抹消は、オマーンのアラビアオリックスの保護区に続く事例であり、文化遺産としての影響力を持つものでした。

危機遺産とその状況

また、危機遺産リストからは2件が除外され、新たに3件が追加され、結果として31件となりました。ドレスデン・エルベ渓谷が抹消されたことに伴い、危機遺産リストからも除外される一方、改善された物件もあったため、その数が一時的に増加する結果となりました。

その他の議題

さらに、委員会では、国際記念物遺跡会議（ICOMOS）が提案した『文化の道に関する憲章』の正式認証も行われました。これにより、文化遺産の保存に向けた新たな動きが期待されています。

このように、第33回世界遺産委員会は、登録物件の決定にとどまらず、保存や保護に向けた重要な議論がなされる場となりました。世界遺産の保護と推進に向けた国際的な協力の重要性が再確認されたこの会議は、今後の世界遺産の未来に大きな影響を与えるものでした。

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