第36回高松宮記念

第36回高松宮記念：オレハマッテルゼの奇跡の勝利

2006年3月26日、中京競馬場。春の訪れを告げるように、第36回高松宮記念が開催された。このレースは、長年短距離界を牽引してきた名馬デュランダルの引退後、新たなスター不在の混戦が予想された。

レースへの期待感

桜花賞とNHKマイルカップを制したラインクラフト、セントウルステークスや函館スプリントステークスで実績を残したシーイズトウショウ、前年のCBC賞優勝馬シンボリグラン、そして芝・ダート両方の1200mで勝利経験のあるリミットレスビッドなど、個性豊かな18頭が出走を表明。レースは、観る者を魅了する、手に汗握る展開が期待された。

単勝オッズでは、シンボリグランが1番人気、続く2番人気にラインクラフト、3番人気にシーイズトウショウが支持された。オレハマッテルゼやリミットレスビッドも上位人気に推された。

レース展開と結果

天候は晴れ、良馬場の中、レースはギャラントアローが先頭を奪う積極的な展開で幕を開けた。コパノフウジン、プリサイスマシーンがその後を追走し、人気のラインクラフトとシーイズトウショウが続く展開となった。

レース中盤は平均ペースで進み、ギャラントアローが先頭のまま最後の直線へ。直線入り口では、プリサイスマシーンとコパノフウジンが内から、シーイズトウショウが外から、そしてラインクラフトがさらに外から追い上げてきた。

その時、内と外のちょうど中間からオレハマッテルゼが鋭く伸びて先頭に躍り出る。猛追するラインクラフトは惜しくも届かず、オレハマッテルゼがクビ差で優勝を飾った。ラインクラフトは2着、シーイズトウショウは3着。

1番人気だったシンボリグランは、最速の上がりタイム33秒6を記録したものの、6着に終わった。

関係者にとっての偉業

この勝利は、オレハマッテルゼと音無秀孝調教師にとってG1初制覇という快挙をもたらした。騎乗した柴田善臣騎手は、2000年の高松宮記念以来、6年ぶり6勝目を達成。馬主の小田切有一氏は、1985年のオークス以来、実に21年ぶりのG1制覇となった。

特筆すべきは、小田切氏の所有馬で、音無調教師が騎手時代と調教師時代双方でG1初勝利を挙げたという点である。音無調教師は、小田切氏が所有していたノアノハコブネに騎手時代に乗っていた経験があり、そのノアノハコブネで1985年のオークスを制している。

レースへの道のり

柴田騎手は、オレハマッテルゼの前走阪急杯で3着、前々走東京新聞杯で2着と好走しており、1200mの距離適性を見抜いていた。その実績と分析を基に、音無調教師と小田切氏に当競走への出走を提案し、承認された。

その他

このレースは、2007年から国際競走に指定されたため、国際G1競走ではない高松宮記念としては最後のレースとなった。また、レース当日の『ドリーム競馬』では、東海テレビと関西テレビが共同制作し、豪華ゲスト陣が出演したことも話題を呼んだ。

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