第4軍団スキュティカ

第4軍団スキュティカ：古代ローマの軍団

第4軍団スキュティカ(Legion IIII Scythica)は、共和政ローマ末期にマルクス・アントニウスによって編成されたローマ軍団の一つです。その起源はアントニウスがパルティア遠征を計画した頃に遡ると考えられています。軍団名から、スキタイ人との戦いに関わった可能性も示唆されています。紋章はカプリコルヌス(山羊座)です。

共和政末期からユリウス＝クラウディウス朝

アントニウスがアクティウムの海戦で敗北し自死した後、第4軍団はオクタウィアヌス(後のアウグストゥス)によってドナウ川流域の属州モエシアに配備されました。ここでは、公共施設の建設やローマ街道の整備などに従事しました。興味深いことに、後のローマ皇帝ウェスパシアヌスも、この時期に第4軍団に所属していたとされています。

[アルメニア王国]]の領有権を巡り、ローマとパルティアの関係が悪化すると、皇帝ネロはグナエウス・ドミティウス・コルブロをカッパドキアのレガトゥス]として派遣。[[第3軍団ガッリカ、第6軍団フェッラタと共に、第4軍団もパルティアとの戦いに参加しました。しかし、62年のランデイアの戦いにおいて、第12軍団フルミナタと共にパルティア軍に敗北し、降伏するという屈辱を味わいました。

フラウィウス朝

四皇帝の年(69年)には、第4軍団は他の東方軍団と同様に、ウェスパシアヌスを支持しました。しかし、忠誠を示したにもかかわらず、第4軍団は精鋭とは見なされず、内戦には参加しませんでした。この背景には、ユダヤ戦争初期に軍団が喫した敗北があったと考えられています。その後、軍団はユダヤ戦争の終結に貢献しました。

その後

2世紀に入ると、第4軍団は再びパルティアとの戦いに従軍しました。181年から183年にかけては、後にローマ皇帝となるセプティミウス・セウェルスが軍団を指揮しました。しかし、その後の第4軍団の活動については、詳しい記録が残っていません。219年には、軍団の指揮官であったゲッリウス・マクシムスが皇帝を僭称し、時の皇帝エラガバルスに対して反乱を起こしましたが、敗北しました。この記録を最後に、第4軍団に関する記述はほとんど途絶えてしまいます。わずかに、5世紀初頭の軍事文書に「第4軍団スキュティカ」の名前が見られる程度です。

第4軍団スキュティカは、その長い歴史の中で、数々の戦いに参加し、様々な役割を担ってきました。その足跡は、ローマ帝国の興亡を物語る貴重な証拠と言えるでしょう。

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