第6艦隊 (アメリカ軍)

第6艦隊の概要

アメリカ海軍の第6艦隊は、地中海および大西洋の東半分を主に担当する艦隊で、約40隻の艦船と175機の航空機を保有しています。任務は、これら地域の安全保障を確保し、必要に応じてヨーロッパおよびアフリカ地域に戦力を提供することです。また、北大西洋条約機構（NATO）部隊としての役割も果たしています。

歴史的背景

第6艦隊の起源は、第一次バーバリ戦争にさかのぼります。19世紀初頭からアメリカ海軍は地中海に艦船を派遣してきましたが、現在の形態が確立されたのは1946年のことです。当時、ハリー・S・トルーマン大統領がソビエト連邦への対抗策として、主力艦「ミズーリ」を伴う部隊を東地中海に派遣しました。この部隊は、後に地中海海軍部隊（Naval Forces Mediterranean）へと発展し、ナポリを基地にした艦隊となりました。初期の頃は、軽巡洋艦「デイトン」が旗艦を務めていましたが、1950年に組織改編が行われ、「第6艦隊」として現在の形態になりました。

冷戦時代には、地中海が主要な担当区域であり、NATOの南側防衛を担う役割を果たしました。また、艦載機を利用して黒海からソ連本土への攻撃構想もありました。

主要任務と実績

第6艦隊は、数多くの実戦にも参加しており、特に中東、北アフリカ、バルカン半島の紛争においてその存在感を示しています。例えば、1958年のレバノン内戦では海兵隊を支援し、1984年には「ニュージャージー」が艦砲射撃を行うなどして、その時々の政治情勢に応じた適切な行動を取ってきました。また、1986年にはリビア爆撃作戦に参加し、1999年のコソボ紛争にも絡む形で展開しています。

冷戦終了後は、地中海に加え、大西洋の東半分も担当するようになりました。2004年には、ヨーロッパにおけるアメリカ海軍の指揮を担当する欧州アメリカ海軍司令部が、ロンドンからイタリアへ移転し、第6艦隊に統合されました。

戦力の構成

2007年時点での第6艦隊の旗艦は「マウント・ホイットニー」で、母港はイタリアのガエータです。海軍中将が指揮を執っており、約21,000人の人員が配置されています。

所属任務部隊（タスクフォース）

第6艦隊は、いくつかのタスクフォースから構成されています。各タスクフォースには60番台の番号が付与され、特定の任務を遂行します。以下はその主要なタスクフォースです：

• - CTF-60 (Battle Force): 主力戦闘艦隊であり、ガエータを母港にしています。
• - CTF-61 (Amphibious Assault Force): 水陸両用作戦を担当する強襲揚陸艦部隊です。
• - CTF-62 (Landing Force): アメリカ海兵隊の遠征隊で編成されています。
• - CTF-63 (Logistics Force): 兵站を支援する補給部隊。
• - CTF-64 (Strategic Missile Deterrence): 核抑止を目的とした弾道ミサイル搭載潜水艦部隊です。
• - CTF-67 (Land-Based Maritime Patrol Aircraft): 陸上基地の哨戒機部隊。
• - CTF-68 (Maritime Force Protection Force): 警備任務を担当しています。
• - CTF-66/69 (Submarine Warfare): 攻撃型原子力潜水艦で構成されています。

第6艦隊は、これらの部隊を組織化して地中海と大西洋の安全を確保し、迅速かつ効果的に任務を遂行できる体制を整えています。

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