第66次長期滞在

国際宇宙ステーション第66次長期滞在

国際宇宙ステーション（ISS）における66回目にあたる長期滞在任務が、第66次長期滞在です。この重要なミッションは、2021年10月17日に宇宙船ソユーズMS-18がISSから地球へ帰還した直後より始まりました。そして、2022年前半に任務を完了するまで続きました。

指揮官の変遷

ミッションの開始から2021年11月8日までの期間、ISSの軌道実験室を率いる指揮官を務めたのは、欧州宇宙機関（ESA）所属のトマ・ペスケ宇宙飛行士でした。彼は欧州出身の宇宙飛行士としては4人目、そしてフランス人としては初めてISSの指揮官に就任し、歴史にその名を刻みました。ペスケ飛行士が指揮を終えた後、2021年11月8日からは、ロシア連邦宇宙局（ロスコスモス）のアントン・シュカプレロフ宇宙飛行士がISSの指揮権を引き継ぎ、第66次長期滞在の残りの期間を率いました。

クルー構成とその変化

第66次長期滞在のクルーは、いくつかの宇宙船の到着と出発に伴い、その顔ぶれが変化しました。

初期のクルーは、第65次長期滞在から任務を継続したメンバーで構成されました。具体的には、ソユーズMS-18でISSに滞在していたロシアのピョートル・ドゥブロフ飛行士と、NASAのマーク・T・ヴァンデハイ飛行士が、ISSでの滞在期間を延長して第66次長期滞在に加わりました。また、2021年4月にスペースX社のクルードラゴン宇宙船 Crew-2ミッションでISSへ到着したNASAのシェーン・キンブロー、K・メーガン・マッカーサー両飛行士、そして宇宙航空研究開発機構（JAXA）の星出彰彦飛行士を含むCrew-2のメンバーの一部も、第65次に続きこの第66次滞在の初期を支えました。

その後、2021年10月5日には、ソユーズMS-19宇宙船がISSに到着しました。この宇宙船には、後に指揮官となるアントン・シュカプレロフ飛行士に加え、ロスコスモスとロシアのテレビ局チャンネル1が共同で進める映画プロジェクト「The Challenge」に参加する映画監督のクリム・シペンコ氏と女優のユリア・ペレシルド氏の2名が搭乗していました。彼らは宇宙での映画撮影という特異な任務のため、短期間ISSに滞在しました。

さらに、2021年11月10日には、スペースX社のクルードラゴン宇宙船 Crew-3ミッションがISSに到着し、第66次長期滞在のクルーに加わりました。このCrew-3には、NASAのラジャ・チャリ、トーマス・マーシュバーン、ケイラ・バロンの各宇宙飛行士と、ESAのマティアス・マウラー宇宙飛行士が搭乗していました。

こうして、第66次長期滞在の期間中、ISSには初期クルーに加えてソユーズMS-19のクルー、そしてCrew-3のクルーが合流し、様々な国籍と所属機関を持つ多数の宇宙飛行士や宇宙滞在者が活動を共にしました。

任務の終了と継続

第66次長期滞在は2022年前半に終了を迎えました。しかし、ミッション終了時においても、一部のクルーは引き続きISSでの任務にあたることとなりました。アントン・シュカプレロフ、ピョートル・ドゥブロフ、マーク・T・ヴァンデハイの3名、そしてCrew-3で到着したラジャ・チャリ、トーマス・マーシュバーン、ケイラ・バロン、マティアス・マウラーの4名は、そのままISSに留まり、第67次長期滞在のクルーとして任務を継続する予定となりました。

第66次長期滞在は、指揮官の交代、複数の宇宙船によるクルーの到着・出発、そして宇宙での映画撮影というユニークな試みを含む、国際宇宙ステーションの歴史の中でも特にダイナミックな期間の一つでした。様々な国の宇宙飛行士が協力し、科学研究やISSの維持管理など多岐にわたる活動がこの期間に行われました。

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