笹井大庸

笹井 大庸（ささい ひろやす）

笹井大庸は1950年5月に岩手県胆沢郡金ケ崎町で生まれた、日本のキリスト教聖霊派の著名な活動家であり、月刊誌『ハーザー』の創刊者として知られています。彼の多岐にわたる経歴は、文学部への進学から始まりました。1969年に中央大学文学部に入学後、彼は鎌倉の師子王学塾で日蓮教学を学びつつ、右翼民族派団体一水会にも参加しました。彼の活動は、当時の日本の社会的背景と密接に関連していました。

彼の出版活動は1969年に発行人となった雑誌「日本の動き」から始まり、笹井はその後、様々な団体と共に「良識復活国民運動」や「グループ日本」などの中心的な活動にも参加しました。1985年にはクリスチャンとして洗礼を受け、その後1986年に仏教系の出版社である暁書房をキリスト教出版社に転換し、1993年にはマルコーシュ・パブリケーション社として再編しました。

1994年には、キリスト教に基づく信念を広める目的で月刊誌『ハーザー』を創刊しました。この雑誌は、日本のキリスト教界において特異な存在となり、特に天皇制に対して再評価を求める意見を発表することで論争を巻き起こしました。笹井は美濃ミッション代表の石黒イサク牧師との間で、日本の宣教活動と天皇制についての公開討論会を行うなど、その活動は多くの注目を集めました。

また、彼が編集長を務めた月刊『ハーザー』では、2007年から2009年にかけて、日本基督教団の手束正昭牧師による大東亜戦争肯定論の連載が掲載されるなど、他のキリスト教界誌とは異なる視点を提供していました。このような姿勢は、日本の教界においては少数派であり、天皇制に対して否定的な意見が多い中で、笹井の取り組みは一際目を引くものでした。

その後、彼は主の十字架クリスチャン・センターを離れ、この組織に対して批判的な特集を『ハーザー』で組むことになります。2010年度には、奥山実牧師らによる『現改訳聖書』発行事業の影響で『ハーザー』は一時休刊されましたが、2011年1月号で復刊されました。

笹井大庸は2013年4月に脳梗塞を患い、同年6月に逝去しました。彼の著作である『キリスト教と天皇（制）』は、彼の思想を知るための貴重な資料となっています。笹井の活動は、日本のキリスト教界において新たな視点を提供し、多くの人々に影響を与え続けています。

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