笹野堅

笹野堅（ささのけん）

笹野堅（1901年6月6日 - 1961年11月6日）は、日本の国文学者であり、特に狂言の研究においてその名を残しています。号は「葵園」であり、多岐にわたる文学研究の業績を持つ人物です。

経歴と学び

笹野は静岡県志太郡藤枝町に生まれました。静岡県立静岡中学校を卒業後、1927年に早稲田大学文学部国文科を卒業しました。その後、東京帝国大学文学部の国文学研究室で藤村作の指導のもとに学びました。1929年には同大学で副手となり、次いで東京女子大学の教授も兼任することになります。さらに、その後は北京師範大学や善隣大学で教授として教鞭を執りました。

研究内容

笹野堅は、狂言研究の先駆者として特に知られています。天正狂言本をはじめとするさまざまな狂言の資料を発掘し、調査し、紹介したことは、今の狂言研究の基礎を築く重要な役割を果たしました。彼はまた、狂言に留まらず、幸若舞曲集、御伽草子、室町時代の物語、歌謡や俳諧、浮世草子など、近世文芸に幅広く取り組み、そのテクストも作成しました。これにより、彼の研究は多くの後進の学者たちにも影響を与えています。

家族背景

笹野堅は、広島市で缶詰製造や精米業を営んでいた笹野雄太郎の長男として生まれました。雄太郎は広島市会議員や広島女子商業初代理事長なども務める傑出した人物でした。家族背景には経済的な基盤もあり、父譲りの知識人としての素養があったことが彼の学問の道に影響を与えたと考えられます。彼の母は東京士族の出身であり、また、笹野堅自身の妻も東京士族で、村井銀行の常務取締役の家族に所属していました。

編纂と著作

笹野堅は多くの編纂や校訂にも関与しています。主な編纂作品には『室町時代小歌集』（万葉閣、1931年）、『室町時代短篇集』（栗田書店、1935年）、『斎藤徳元集』（古今書院、1936年）、『幸若舞曲集』（第一書房、1943年）などがあります。また、岩波書店から刊行された『古本能狂言集』の編集にも携わり、さらには『日本古典全書 近世歌謡集』においてもその優れた校注が評価されています。

笹野堅の業績総評

笹野堅の研究は、国文学の分野において重要な足跡を残しています。特に、狂言研究に関しては彼の発掘や調査がなければ今日の理解はますます薄れていたでしょう。彼の取り組みは、文学研究のさらなる発展を促し、後世にわたる文学的影響を与え続けています。文学というフィールドにおいて、彼の果たした役割は極めて大きいものがあります。笹野堅の業績を通して、今後も多くの人々が近世文学の魅力を再発見し、学び続けることが期待されます。

もう一度検索