管領代

管領代（かんれいだい）は、室町幕府において管領の職務を代行するために臨時に設けられた役職です。

永正5年（1508年）、10代将軍足利義稙が将軍に再任された際、管領であった細川高国とは別に、山城守護の大内義興が管領代に任じられたという記録が残っています。これは、管領が職務を遂行できない状況下で、その代わりを立てる必要が生じたことを示しています。

戦国時代に入ると、管領の地位は事実上細川氏が独占するようになり、将軍の就任儀式の際を除いては、管領が任命されることはほとんどありませんでした。しかし、その就任儀式の際に管領に不都合が生じた場合に限り、臨時の措置として管領代が任命され、管領の職務を代行しました。史料に残る唯一の例として、天文15年（1546年）に13代将軍足利義輝が近江坂本で将軍に就任した際、近江守護の六角定頼が管領代に任命された事例が挙げられます。

また、応仁の乱後、細川政元が明応の政変を引き起こし、細川氏が幕府の実権を掌握するようになると、細川氏の家臣が幕府の奉行人と並んで重要な政務に関する奉書を発給するようになりました。これらの細川氏の奉行人は、幕府から「右京兆代（うきょうのちょうだい）」と呼ばれていました。「京兆」とは、細川氏の極官であった右京大夫の唐名に由来します。そのため、研究者の中には、細川氏の奉行人を管領代とみなし、彼らが発給した文書を「管領代奉書」と呼ぶ者もいます。

このように、管領代は、室町幕府の政治運営において、管領の不在時や職務遂行が困難な場合に、その機能を補完する重要な役割を担っていました。戦国時代の動乱期においては、幕府の権威が低下し、有力な守護大名や守護代が実権を握る中で、管領代の存在は、幕府の体制を維持するための象徴的な意味合いも持っていたと考えられます。

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