箸尾宗信

箸尾宗信（はしお むねのぶ）：室町時代の武将

箸尾宗信は、室町時代後期に大和国（現在の奈良県）で勢力を誇った国人領主、箸尾氏の当主です。別名を為隆とも称しました。

生涯

宗信の人生は、大和国内の騒乱と、中央の権力闘争に深く関わっていました。

家督争い

永享年間（1429年 - 1441年）に発生した大和永享の乱において、宗信の兄である為憲は、越智維通や大覚寺門跡義昭らと共に、筒井氏を支援しました。しかし、筒井氏を敵視する室町幕府によって、為憲は討たれてしまいます。

嘉吉3年（1443年）、宗信は兄の遺児である春代丸を殺害し、箸尾氏の家督を奪取しました。この背景には、一族内の方針対立があったとされています。越智氏寄りの春代丸に対し、宗信は筒井氏との連携を重視していたため、対立が激化したと考えられています。

畠山氏の内紛と所領の喪失

宗信は、筒井順弘と成身院光宣・筒井順永兄弟の対立では光宣側につきました。また、河内国の守護大名である畠山氏のお家騒動では、畠山弥三郎を支持しました。しかし、享徳4年（1455年）に弥三郎が追放されると、その後を追って大和に侵攻してきた畠山義就によって、宗信は窮地に立たされます。

康正3年（1457年）には、宗信が領有していた所領が幕府の御料所となり、義就が代官に任じられるという事態に陥りました。これにより、宗信は没落を余儀なくされました。

所領の回復と応仁の乱

長禄3年（1459年）、弥三郎が赦免されると、宗信は幕府から知行回復の御教書を賜り、細川勝元の軍勢に守られて大和に帰国を果たします。しかし、弥三郎は程なく急死し、弟の畠山政長が畠山氏の当主に擁立されました。

宗信は所領を回復するため、義就方の越智家栄と戦い、着実に所領を取り戻していきました。応仁元年（1467年）、応仁の乱が勃発すると、宗信もその渦中に巻き込まれました。同年、宗信は急死し、家督は嫡男の為国が継承しました。

宗信の生涯は、室町時代の地方武士の苦難と、中央の権力闘争に翻弄される姿を如実に表しています。彼は家督争いを乗り越え、所領を失いながらも回復に尽力するなど、激動の時代を生き抜いた人物として知られています。

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