成身院光宣

成身院光宣（じょうしんいん こうせん）：戦乱の世を駆け抜けた僧にして武将

室町時代中期から後期にかけて、大和国（現在の奈良県）を舞台に活躍した成身院光宣は、僧侶でありながら武将としても名を馳せた異色の人物です。興福寺の衆徒として権勢を振るい、戦乱の時代を生き抜きました。

生涯

光宣は応永12年（1405年）、大和国の国人である筒井順覚の次男として生まれました。幼くして出家し、興福寺の子院である成身院に入ります。僧侶としての道を歩み始めた光宣でしたが、当時の大和国は戦乱の渦中にあり、その運命は大きく翻弄されることになります。

大和永享の乱

永享元年（1429年）、大乗院衆徒と一乗院衆徒の対立が激化し、大和永享の乱が勃発します。筒井氏は一乗院衆徒を支援したため、光宣もこの戦いに巻き込まれることになります。戦火は大和全土に広がり、光宣は足利義教に援軍を要請。幕府の支援を得て越智氏を一時的に撤退させました。しかし、永享6年（1434年）には父・順覚が越智氏に敗れて戦死。光宣は兄・筒井順弘と共に越智氏との戦いを継続しますが、泥沼化してしまいます。

河上五ヶ関を巡る抗争

大和永享の乱後、筒井氏内部で家督争いが勃発。光宣は兄・順弘を追放し、弟・順永を惣領に据えます。しかし、河上五ヶ関の代官職を巡り、管領・畠山持国や大乗院門跡・経覚と対立。経覚側の攻撃を受けて没落し、一時的に筒井城に逃れます。その後、文安2年（1445年）に経覚派の鬼薗山城を攻略し、河上五ヶ関の代官職を回復。幕府の赦免を得て勢力を盛り返しました。

畠山義就との対決

享徳3年（1454年）、畠山氏の家督争いが発生。光宣は畠山持国の甥・弥三郎を支援しますが、持国の死後、弥三郎は敗北。光宣は弥三郎の弟・政長を擁立し、畠山義就追討を幕府に命じられます。寛正4年（1463年）には嶽山城を攻略し、義就を高野山へ追いやりました。しかし、文正元年（1466年）に義就が上洛。光宣も上洛して対応を協議しますが、最終的に越智家栄と和睦し、大和に戻ります。

応仁の乱と晩年

応仁元年（1467年）、応仁の乱が勃発。光宣は東軍に加担し、武田信賢と共に上京の戦いで活躍しました。その後、文明元年（1469年）に大和に下向し、同年11月20日に死去。享年80歳。

大乗院門跡・尋尊からは応仁の乱の元凶として非難される一方で、寺内有力者として神事・法会や寺領訴訟に力を発揮し、信頼されていました。甥の順盛が後見人として筒井氏を支え、その遺志を継承していきました。

成身院光宣は、激動の室町時代を生き抜き、大和国にその名を刻んだ人物として、歴史に深く記憶されています。

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