篠原自遁

篠原自遁について

篠原自遁（しのはら じとん）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将であり、阿波国木津城の城主として知られています。彼の生涯においては、数々の戦闘や政治的な動きが織り交ぜられる中で、阿波三好家に仕官しました。

家柄と初期経歴

自遁は、篠原氏の庶流に生まれ、主に阿波三好家に仕えたことが推測されます。彼は、嫡流の篠原長房と共に三好実休に仕官してからそのキャリアが始まります。永禄2年（1559年）6月、彼は加地盛時および三好康長とともに、実休の子である千鶴丸（後の長治）に副状を出しており、これが自遁の初見とされています。この時、彼は「弾正忠実長」と名乗っていました。

三好家の支持

自遁は永禄5年（1562年）に実休が戦死した後、篠原長房とともに三好長治を支えました。三好家が足利義昭や織田信長と対立していた元亀元年（1570年）10月および元亀3年（1572年）12月には、畿内に出陣して活躍を見せました。この際に出家して「不干斎自遁」と名乗ったのも特徴的です。

主君の危機と自遁の立場

元亀4年（1573年）の夏、篠原長房とその子である長重が、主君の三好長治や阿波守護家当主の細川真之に攻められ討死するという事件が起こりました（上桜城の戦い）。これにより自遁は、長房の後を継ぎ阿波三好家における重臣筆頭の地位に就いたと考えられています。この頃、自遁の嫡子・長秀は、長治に仕え、父子共に阿波三好家において重要な役割を果たしていました。

複雑な人間関係

長房と長治・真之の間での対立には、いくつかの伝説が流布しています。例えば、自遁が小少将と密通し、その醜聞が国中に広がり、小少将が長房に責任を押し付ける形になったとされる一方で、自遁が長房にそのことを咎められた結果、讒言を行ったとも言われています。しかし、これらの説には信憑性が薄いとされています。

自遁の失脚とその後

天正4年（1576年）の終わり、三好長治が細川真之との対立を受けて自害した際、自遁も同時に失脚したと見られます。翌天正5年（1577年）には、阿波三好家の旧臣が蜂起し、勝瑞城を押さえました。この中には自遁が指示した「両篠原」と見られる人物も含まれており、彼の家族が今でも影響を持っていたことが伺えます。

その後、一宮成相や長宗我部氏との連携を推し進めつつも、自遁は天正10年（1582年）には織田家との交渉役を担っていました。ですが、中富川の戦い（1582年8月28日）での敗北や、その後木津城が長宗我部勢の攻撃で落ちると、自遁は淡路に逃れざるを得なくなりました。

最後の姿と評価

天正13年（1585年）、秀吉が四国攻めを行った際、自遁は新たな藩主となった蜂須賀家政に対して、三好氏の活動を紹介する書状を発行しました。これが史料上確認できる自遁の最後の姿となり、彼の波乱に満ちた生涯は戦国時代の激動を映し出すものとなっています。

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