篠原茂

篠原茂（しのはら しげる）

日本の映画プロデューサー、脚本家。特撮テレビ番組を中心に活躍し、多くの作品を世に送り出しました。脚本家としては「しのだとみお」名義でも知られています。

経歴

1937年生まれ。青山学院大学卒業後、東映を経て松竹に入社し、テレビドラマの制作に携わります。

1970年、ピー・プロダクションに出向。『宇宙猿人ゴリ』の制作に参加し、その後『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』、『スペクトルマン』と番組名を変えながらも、全編の制作を担当しました。

1972年、正式にピー・プロダクションのプロデューサーとなり、『快傑ライオン丸』、『風雲ライオン丸』、『鉄人タイガーセブン』、『電人ザボーガー』、『冒険ロックバット』など、数々のフジテレビ・ピープロ作品をプロデュース。脚本執筆やアトラクション企画など、幅広い分野で活躍しました。

1980年には、日仏合作特撮企画『シルバージャガー』に参加。徳間大映では『宇宙怪獣ガメラ』の制作を担当するなど、その後も映像作品に携わりました。

人物・エピソード

• - ピープロ作品でのスタッフ記名「しのだとみお」は、社長の鷺巣富雄（うしおそうじ）と篠原の名前を合わせたペンネームであり、脚本家としての「しのだとみお」は篠原自身を指します。
• - 松竹時代には芦田伸介主演のテレビドラマ制作を担当していましたが、鷺巣との縁から『宇宙猿人ゴリ』の制作に携わることになりました。制作期間が短い中、鷺巣からの熱心な依頼を受け、番組制作を引き受けたエピソードが残っています。
• - 当時のピープロは体制が整っておらず、寄せ集めのスタッフで制作が進められていました。篠原は、特撮班とドラマ班の統率や、予算の見直しなどに苦労したと語っています。
• - 『スペクトルマン』では、公害をテーマにしたエピソードや、交通安全キャンペーンに採用された怪獣が登場するなど、社会的なメッセージも込められていました。また、実物大の怪獣模型を使った公道ロケでは、撮影許可を得るために政治家の協力を仰いだというエピソードも存在します。
• - 『スペクトルマン』放映時、七五三のお参りに長男を「ゴリ博士」の衣装で参加させ、話題を呼んだこともありました。
• - 『快傑ライオン丸』は、当初現代物の企画でしたが、フジテレビの意向で時代劇に変更されました。東映の時代劇映画の合戦シーンを冒頭に挿入するなど、様々な工夫が凝らされました。また、ライオン丸のマスクは、舞台専門のかつら店で丁寧に制作されたものが使用されました。
• - 『快傑ライオン丸』と同時期に、東映も時代劇変身ヒーロー番組『変身忍者 嵐』を制作していましたが、視聴率では『ライオン丸』が上回りました。篠原は、『嵐』が本格的になりすぎたことが伸び悩みの原因だと分析しています。
• - 『快傑ライオン丸』では、敵役のネーミングや、「ライオン飛行斬り」の名称も篠原が考案しています。また、脚本家からの入稿遅延により、自ら『しのだとみお』名義で脚本を執筆したこともありました。
• - 『快傑ライオン丸』の商品化ビジネスが好調だった際には、フリー契約のスタッフに賞与が支給されましたが、三船プロから抗議があったというエピソードも残っています。
• - 篠原は、子供番組の主人公には「明るさが必要」であり、「暗いものや陰惨なものは当たらない」と語っています。また、特撮物やSF物は「映画の原点」であると捉え、脚本に知恵を出すことで、新しいヒーローが生まれる可能性を示唆しています。
• - 『電人ザボーガー』では、元大映監督の湯浅憲明が自ら監督を志願し、起用されたというエピソードがあります。また、パイロット作品『シルバージャガー』では、坂本龍一が作曲家として紹介されたものの、起用は見送られたという逸話も存在します。

テレビ出演

• - 『ピープロ魂』（フジテレビ721、2007年）に出演し、ピープロ時代のエピソードを語りました。

篠原茂は、日本の特撮テレビ史において、重要な役割を果たした人物の一人と言えるでしょう。

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