篠沢恭助

篠沢恭助

篠沢恭助（しのざわ きょうすけ）は、1937年3月1日生まれの日本の元官僚です。大蔵省（現財務省）で事務次官を務めました。

生い立ちと学歴

篠沢氏は、東京教育大学附属中学校・高等学校（現在の筑波大学附属中学校・高等学校）を経て、東京大学法学部第二類（公法コース）を卒業しました。1960年に大蔵省に入省し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。

大蔵省でのキャリア

大蔵省では、為替局総務課を皮切りに、主計局を中心にキャリアを重ねました。特筆すべきは、当時の事務次官候補としては異例のコースを歩んだことです。大臣官房の文書課長や秘書課長、地方支分部局の局長などを経ずに、主計局総務課長からいきなり同局の末席次長に抜擢されました。

同期入省の千野忠男氏が、主計官補佐や主計局総務課企画官などを歴任していたのに対し、篠沢氏は主計局の要職を歴任し、主計コースを歩みました。千野氏は年齢の関係で主計局長を経て事務次官となることが難しいと判断され、国際金融コースへ進みました。その後、篠沢氏は大臣官房総務審議官、理財局長を歴任し、1991年には大臣官房長に就任しました。

1993年には主計局長に就任し、1995年5月には大蔵事務次官に就任しました。しかし、就任直後から、大蔵省幹部による過剰接待問題、大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件における対応の遅れ、住専への公的資金投入問題など、一連の「大蔵スキャンダル」が発覚し、国民からの大きな反発を受けました。その結果、篠沢氏は歴代の大蔵事務次官の中でも最短となる在任7ヶ月で辞任することとなりました。

退官後の活動

1996年に大蔵省を退官した後、1998年に海外経済協力基金総裁、1999年に国際協力銀行副総裁、2001年には国際協力銀行総裁を歴任しました。2008年からは資本市場研究会理事長を務めています。2019年には瑞宝重光章を受章しました。

人物

篠沢氏は、東大時代に亀井静香氏と親交が深く、昵懇の間柄として知られています。

詳細な略歴

1952年3月：東京教育大学附属中学校（現・筑波大学附属中学校）卒業
1955年3月：東京教育大学附属高等学校（現・筑波大学附属高等学校）卒業
1959年9月：国家公務員採用上級試験（法律）合格
1960年3月：東京大学法学部第二類（公法コース）卒業
1960年4月：大蔵省入省（為替局総務課）
1962年6月：近畿財務局理財部
1963年8月：アジア経済研究所出向（1964年4月 - 1966年3月 ブエノスアイレス派遣員）
1966年7月：荻窪税務署長
1967年8月：外務省経済局アジア課
1969年8月：主計局法規課長補佐
1970年7月：証券局総務課長補佐（調査・企画）
1972年7月：主計局主計官補佐（文部係主査）
1974年7月：主計局総務課長補佐（企画）
1975年7月：主計局主計官補佐（建設係主査）
1976年7月：大臣官房文書課広報室長
1977年6月：行政管理庁行政管理局管理官（定員総括、特殊法人、外務省）
1980年6月：主計局主計官（文部、科学技術担当）
1981年7月：主計局主計官（厚生、労働担当）
1982年6月：主計局主計官
1984年6月：主計局総務課長
1986年6月：主計局次長（末席）（給与、共済、文部、厚生・労働などを担当）
1987年8月：主計局次長（次席）
1988年6月：主計局次長（首席）（総務課のほか、地方財政、厚生・労働などを担当）
1989年6月：大臣官房総務審議官（現・総括審議官）
1990年6月：理財局長
1991年6月：大臣官房長
1993年6月：主計局長
1995年5月：大蔵事務次官
1996年1月：退官
1998年5月：海外経済協力基金総裁
1999年10月：国際協力銀行副総裁
2001年6月：国際協力銀行総裁
2003年10月：国際協力銀行総裁（再任）
2006年12月：財務省参与
2007年9月：国際協力銀行総裁退任
2008年1月：資本市場研究会理事長
* 2019年11月：瑞宝重光章受章

入省同期

篠沢氏の入省同期には、伊吹文明（衆議院議長）、安部彪（国民金融公庫副総裁、会計検査院事務総長）、朝比奈秀夫（万博記念協会理事長、国際金融局担当審議官）、千野忠男（アジア開発銀行総裁、財務官）、白鳥正喜（アメリカンファミリー生命保険会社シニア・アドバイザー、海外経済協力基金理事、国際金融局次長）、水谷文彦（住宅・都市整備公団副総裁、沖縄開発事務次官）、藤田弘志（名証理事長、関東財務局長、理財局次長）などがいます。

現在

現在は、一般財団法人生涯学習開発財団評議員を務める。

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